トランプ米大統領=25日、ワシントン(AFP時事) 【ワシントン、ロンドン時事】トランプ米大統領が27日、関税や非関税障壁が高い国・地域に相応の関税を課す「相互関税」を「4月2日に導入する」方針を表明した。各国・地域が回避に向け水面下で米政府と協議を進める中、同氏は特に、巨額の対米貿易黒字を計上する欧州連合(EU)への批判を強めている。EUはあくまで「対話を重視する」構えだ。
「米国はEUとの間で問題を抱えている」。トランプ氏は27日、スターマー英首相との会談の場で、EU批判を展開した。「米国産品に関税をかけ、高い付加価値税を課している」と批判のボルテージを上げ、相互関税により「そうした状況を変える」と主張した。
トランプ氏は4月1日までに関係省庁から各国・地域の貿易状況や不公正な慣行などに関する報告を受け、相互関税の詳細を決める方針だ。EUからの輸入品に対しては25%の関税を課す可能性に言及。さらに「分野別関税」の一環として、EUからの輸入が多い自動車にも25%関税を課す計画も打ち出し、揺さぶりをかけ続けている。
EUは先週、シェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)を米国に派遣し、米国と協議。「欧州の単一市場が米企業にも多大な利益をもたらしている」(報道官)と理解を求めた。米国からの天然ガス輸入も増やし、米国の貿易赤字削減を後押しする考え。メツォラ欧州議会議長は27日に米国で講演し、「関税よりも貿易協定の議論をすべきだ」と訴えた。
ただ、欧州はウクライナ停戦を巡ってロシアに融和姿勢を示す米国への不信感が根強い。経済分野でも溝が生じつつあり、協議は難航が予想される。