総務省が取り締まっても、キャリアの呪縛から逃れられないスマホユーザー

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2025年02月28日 17:31  BCN+R

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 携帯電話キャリアの2024年度第3四半期決算が出揃った。docomo、KDDI(au)、SoftBankの3キャリアは端末の販売数を公表している。それぞれの資料を参考に端末の販売数をみた。docomoは270.3万台、auは180.0万台、SoftBankは217.2万台で、3キャリアの合計は667.5万台だった。スマートフォンと携帯電話(いわゆるガラケー)を区別していないため、総数となる。

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 21〜24年度の第3四半期(3Q)まで、3キャリアの端末販売数合計の推移をグラフ化した。21年度は3082.2万台、22年度は2571.6万台、23年度は2442.6万台と徐々に販売数は減少していることが明らかとなった。24年度は3Qまでに1804.0万台で、このままだと23年度を下回りそうだ。

 総務省は電気通信事業法ガイドラインを改正し、キャリアの廉価販売を取り締まっている。最近では23年12月と24年12月にそれぞれ廉価販売の規制を強化した。

 23年度3Qは駆け込み需要の影響で販売数が跳ね上がった分、翌4Qは616.6万台と前年よりも1割近く下回った。24年度3Qも同じように販売数は増加。23年度と同じ状況であれば、4Qには反動減が待ち受けているだろう。

 家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を基に、スマートフォンのキャリア別販売台数構成比をみていく。「キャリアフリー」とは、キャリアが独自にJANコード(POS用のバーコード)を割り振っていない端末を指しており、「SIMフリー」とは異なる。また、「その他」には、サブブランドのY!mobileやUQ mobileなどを含んでいる。

 キャリア別販売台数構成比によると、3キャリアの合計は6〜7割、多い時には8割に達する。一方、キャリアフリーの比率は1割台後半〜2割程にとどまる。その他は21年度の1〜2Qには2割を超えていた構成比は、徐々に減少。最近では1割にも満たない水準だ。これは、3キャリアも大容量で格安のプランを発表し始めたことも影響している。

 廉価販売の規制強化に対し、キャリアは様々な対抗策を編み出し端末の廉価販売を継続している。端末の返却を前提に月額数十円で販売(レンタル)するのが、現在の主流だ。こうした販売により、スマートフォンの機種別販売ランキングの上位には、キャリアが安価に販売している機種がランクされてしまっている。

 こうしてみると、利用者はキャリアから抜け出せない実態が明らかになってくる。サブブランドやMVNOなどの選択肢もあるが、移行できていない。キャリアの呪縛から解き放たれるのはいつのことになるのだろうか。(BCN総研・森英二)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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