写真 「サッカニー(Saucony)」が、日本初の直営店となるフラッグシップストアを原宿にオープンした。これまで、国内ではライフスタイルシューズ「オリジナルス(ORIGINALS)」で認知を集めていた同ブランドだが、昨年8月の本格上陸に伴い、同店ではブランドの元祖であるランニングカテゴリーを打ち出す。ランニング市場が盛り上がりを見せる今、競合他社がひしめく原宿エリアにあえて出店した理由とは? サッカニーのグローバルブランド責任者であるロブ・グリフィス(Rob Griffiths)氏と、同ブランドの販売代理店である丸紅コンシューマーブランズの高原秀人代表取締役社長に勝算を聞いた。
同店は、地下1階と地上1階の2フロアで構成。地上1階では、同ブランドのイノベーションを凝縮したプレミアムランニングシューズなどのパフォーマンスアイテム、地下1階ではライフスタイルシューズ「オリジナルス(ORIGINALS)」シリーズに加え、ブランドのアーカイヴモデルも展示している。内装は、ランニング中の心地良い自然環境をイメージした木目のデザインを取り入れた。「サッカニーは創業から127年の歴史を通して、どこにも負けないような製品を開発してきた。その歴史が垣間見えるよう、ミュージアムのような雰囲気に仕上げた」(高原代表)。
位置するのは、原宿の明治通り沿い。横断歩道を挟んだ向かいには「サロモン(SALOMON)」が店舗を構え、同エリアには「アシックス(asics)」や「ニューバランス(New Balance)」「ホカ(HOKA)」「オン(On)」といった競合他社が軒を連ねる。
同エリアを選んだ理由について、高原代表は「このエリアは、日本の主要都市の中でも特に人通りが多く、カルチャーに与えるインパクトも大きい。世界で認知される多くのブランドが店舗を構えていることから、インバウンド客はもちろん、日本の消費者に向けてブランドを発信するには恰好の立地だった」と話す。
近年では、オンやホカが国内市場で頭角を表し、今年2月には、スウェーデン発の「クラフト(CRAFT)」が日本に上陸するなど、ランニング業界はレッドオーシャンとなっている。そんな現状について、高原代表は「さまざまなブランドが群雄割拠の今だからこそ、サッカニーは各社が訴求しているイノベーションに引けを取らないテクノロジーを持っているということ、ランナーのニーズに応えられるブランドであるということを発信していくべき。ランナーのことを一番に考えたものづくりを進めているため、デザインと機能性を求める消費者にきちんと届けることでビジネスが成り立つと思う」と意気込む。
オープン初日の27日は、平日にもかかわらず予算を大きく上回る売上を達成。主にインバウンド客を中心に盛況だったといい、高原代表は「良いスタートが切れた」と振り返る。
◆ブランド認知拡大へ、鍵となるのはブランドコラボやランニングクルーとの結びつき
ロブ氏は、日本国内を含む今後のグローバル戦略について、ランニング専門店でのシェア拡大をはじめとしたランニングカテゴリーの推進とともに、ライフスタイルカテゴリーへの注力についても言及。今後は、さまざまなブランドやアーティストとのコラボレーションを通して、ブランド認知の向上を目指す。
国内のランニング業界においては、年始の箱根駅伝でのシェアがブランドの実力を表す一つの指標となっている側面もあるが、ロブ氏は「将来的には大会などのビッグイベントでも存在感を出していきたいが、まずはマス層におけるシェア、つまり各地域のコミュニティにフォーカスする。そのためには、ローカルに根付いたランニングクルーとの結束が不可欠。ロンドンやパリなどの都市ではすでにランニングイベントを開催している。各地域での認知向上のために投資したい」とコメント。近年、世界的なトレンドにもなっているランニングコミュニティとの結びつきを強める姿勢を示した。
サッカニーは、日本国内のほか、6月にはロンドンに店舗をオープン。その後、パリやニューヨークにも出店を拡大していく方針だ。原宿店に続く国内店舗の出店についても前向きだといい、高原代表は「今後も、直営店は主要都市を意識しながら拡大していきたい。まずは原宿店を成功させることが何より重要で、ビジネスの成長とともに拡大を目指す」と展望を語った。卸では、ランニング専門店に加え、「キス(KITH)」や「アトモス(atmos)」といったスニーカーショップでの取り扱いも開始。ランニングカテゴリーだけではなく、ライフスタイルカテゴリーでもさらなる飛躍を目指す。
■Saucony HARAJUKU FLAGSHIP所在地:東京都渋谷区神宮前 6-18-14 JS 神宮前 PROPERTY 1階、地下1階営業時間:11:30〜20:00定休日:不定休