
3歳牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(4月13日/阪神・芝1600m)の前哨戦、GIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)が3月2日に行なわれる。
桜花賞と同じ舞台とあって、有力馬の多くがここをステップにして本番を目指す、というのが定番だ。それゆえ、人気馬がそれなりの成績を残してきたイメージが強い。実際、「過去10年の結果を振り返ると、1番人気は5勝(うち同着1回)、2着1回、3着1回。勝率50%、複勝率70%と、その信頼度は比較的高いと思います」と、日刊スポーツの奥田隼人記者が説明するとおりだ。
しかしここ最近は、本番で有力視されている存在や素質のある実績馬がチューリップ賞をスキップ。年末年始の重賞を制したあと、桜花賞に直行するケースが増えつつある。それによって、チューリップ賞は波乱傾向が高まってきている。奥田記者が言う。
「ここ2年は、1番人気が連敗中。いずれも馬券圏外に沈んでいます。そうしたなか、一昨年は7番人気のモズメイメイが勝利し、6番人気のコナコーストが2着、2番人気のペリファーニアが3着に入って、3連単の配当は15万円超え。さらに昨年は、5番人気のスウィープフィートが勝って、2着に9番人気のセキトバイースト、3着に15番人気のハワイアンティアレが突っ込んできて、3連単では169万3290円というビッグな配当が飛び出しました」
また、3年前の2022年も1番人気のナミュールが快勝したものの、13番人気のピンハイが2着に飛び込んできて、3連単は25万円超えという高額配当をつけている。
|
|
こうした状況を鑑みると、チューリップ賞はもはや"荒れるレース"に変貌した、と言えるかもしれない。穴党にはたまらない一戦で、「この流れからすると、今年も大穴を狙っていきたいところです」と、奥田記者も目を輝かせる。
そうして、奥田記者は今年のレースで波乱を演出しそうな2頭の穴馬候補をピックアップした。まず1頭目は、ルージュソリテール(牝3歳)。デビュー戦を勝ったばかりだが、果敢にこの舞台に挑んできた逸材だ。
「デビューは2月9日の新馬戦(京都・芝1600m)と遅めでしたが、レースでは3番手の好位から抜け出す競馬で快勝。スピードのあるところを見せました。
体質に弱い面があったようで、陣営がじっくりと仕上げてきての新馬勝ち。手綱を取った西村淳也騎手は、『スタートが速く、(道中は)ペースが遅いなかでも我慢できていました。関係者の方々がじっくりと作ってくれて、強い内容でした』と評価していました。
同馬を管理する藤原英昭調教師もレース後、『桜花賞に行きたいね』と、さらなる期待を膨らませていたのが印象的でした。
|
|
舞台となる阪神競馬場がリニューアル明け、というのもプラス材料。芝は全面的に張り替えが行なわれ、非常にいい状態が予想されます。しかも、開幕週の馬場なら、そう簡単に前は止まらないでしょう。となると、この馬の先行力が生かされそうです。
メンバーを見渡してみると、意外にも先行タイプは多くなさそう。初戦で見せたスピードを存分に発揮できるのはないでしょうか」
新馬勝ちから中2週というローテについても、奥田記者は「不安はない」と言う。
「(この中間の)状態に関しては、田代信行助手が『使ってからも、ガタッとくることはありませんでした』と話していましたから。それに、『反応よく、いい脚を使う馬で、素質はあります。外回りになるのもいいと思うので、何とか(桜花賞出走の)権利を獲りたい』と、田代助手が意気込んでいたのは心強い限りです。
馬場を味方にして前々で運ぶことができれば、粘り込みの可能性は大いにあると思います」
|
|
奥田記者が注目するもう1頭は、プリンセッサ(牝3歳)だ。
「昨年11月の新馬戦(2着。11月9日/京都・ダート1800m)でデビューし、2走目の未勝利戦(12月7日/中京・ダート1800m)で勝ち上がり。後続に8馬身差をつける圧勝でした。その後、前走の1勝クラス(1月18日/中京・ダート1800m)は道中での力みが響いて16着と大敗を喫しました。
そこから今回、いきなり初芝で初の重賞挑戦となります。それでも、同馬に期待するのは、その血統にあります。
産駒がダートで絶好調の父ナダルゆえ、ダート血統に見えますが、母は2015年の牝馬三冠レースで善戦したアンドリエッテ。2018年のGIIIマーメイドS(阪神・芝2000m)を制すなど、芝で4勝を挙げています。その子であれば、未知数の芝でも適性があってもいいのではないかと思うわけです」
母アンドリエッテも、3歳時にはチューリップ賞で7番人気ながら2着と好走。そんなデータも、プリンセッサの大駆けを予感させる。
「前走の敗因はしっかりしており、状態面に関しては至って良好。管理する牧田和弥調教師も、『毛づやがよくて、体調はめちゃくちゃいいです。スピードがあるので、芝でもやれそうです』と手応えを感じています。
開幕週の馬場への対応はポイントになりますが、高配当を運んでくるのはこういう馬。誰もがアッと驚くような一発を期待したいです」
今年も波乱ムード漂うチューリップ賞。昨年のようなビックな配当を目指すなら、ここに挙げた2頭を押さえてみるのも悪くはない。