「壁」引き上げ、制度複雑化=効果乏しく―自公の税法修正案

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2025年03月01日 09:01  時事通信社

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時事通信社

 自民、公明両党は、国会に提出した2025年度税制改正関連法案の修正案に所得税の課税最低限「年収103万円の壁」の見直しを盛り込んだ。政府案の123万円から160万円に引き上げる。ただ、基礎控除の上乗せ額が年収に応じて4段階で異なる新たな仕組みを導入。制度が複雑化した上、減税額は年間2万円程度と、物価高対策などとして税負担を軽減する効果も乏しい。

 一橋大の佐藤主光教授は、等しく負担が軽減されるべき基礎控除に年収に応じた区分を設けた点を問題視。「税制をかなり複雑にし、減税の規模が恣意(しい)的だ」と批判する。少数与党が予算成立のために「政治的な意図」で税の原則をゆがめたとして、「禍根を残す」と強調した。

 物価高対策の効果に関し、佐藤氏は「極めて限定的だ」と指摘する。低所得層のうち、特に配慮すべき非課税世帯に減税の恩恵が及ばないからだ。

 第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、自公が控除額を引き上げる理由に挙げたインフレ対策について、「十分ではない」との見方を示す。国民民主党は手取り収入を増やすために壁の見直しを訴えていたが、星野氏は「結果的にどこを重視したのかが分からない」と修正案に疑問を投げ掛ける。

 また、控除引き上げは所得税のみで、住民税は税収減に難色を示した地方自治体への配慮から、課税最低限が110万円に据え置かれた。星野氏は「働き控え」の是正につながらない上に、「最低生計費」の意味合いを持つ基礎控除の額が税目によって異なるのは「理屈が成り立たない」と指摘。「将来的にどう整理していくのかが今後の課題だ」と述べた。 

このニュースに関するつぶやき

  • 103万円を160万円にしたから、1.5倍じゃん!与党えらい!…という反応を期待していたんだろうけど。姑息な細則を作りまくって減税を防ぎ、実質的にはヘナチョコ改革・与党ダメじゃん…ということ?
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