長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆ソウルラッシュがドバイ遠征を見据えて始動
創設が1936年の中山記念は、今年が99回という伝統の重賞だが、距離が1800米に定着したのが1957年。
その時代によって様々な顔を見せてきたが、今は大阪杯がGIに昇格し、1着馬に優先出走権が与えられるようになり、1800米から2000米という中距離路線上の重要な一戦になっている。
ここでこの一年のスタートを切る馬が多く、中には海外のG1、ドバイターフやクイーンエリザベス2世Cを見すえてひと叩きというものも出てきた。
最近では、3年前にハイペースで逃げ切ったパンサラッサは、この後UAEのドバイターフを勝っていた。
この10年で中山記念の勝ち馬延べ4頭が、その後、海外のG1で優勝している。そんな展望が開けるというのも、このレースの魅力と言っていいだろう。
今年の顔ぶれの中では、ソウルラッシュがドバイ遠征を見据えて始動する。
昨秋、待望のGIをマイルCSで初制覇し、続く香港マイルでも2着と前年の4着を上回っていた。
ただ、中山のマイルは3戦3勝でも1800米はどうかというところがあり、7歳という年齢も考え有力馬の一頭というところにとどめておく。
これの上をいくのは、昨年の覇者マテンロウスカイだ。
中山の1800米内回りは、圧倒的に先行型がいい。昨年は2、3番手という思いどおりのレースが出来ていたし、今年も逃げる馬がいるので、何とかなりそうだ。昨年と同じ東京新聞杯5着からの臨戦というのもいい。
そして、昨秋毎日王冠で年長馬と初対戦ながら勝ったシックスペンスも主力の一頭に。
5戦4勝の4歳馬で、唯一日本ダービーの9着は距離が長く折り合いを欠いたものだった。1600〜1800米では安定感があり、レースセンスも光っていて、ここからが本領発揮だと期待したい。
さらにもう一頭、中山金杯で重賞2勝目を挙げたアルナシームを。
2000米で勝ったのは大きな収穫だったが、右回りの芝1800米は9戦5勝2着2回という実績があり、前走より軽い斤量で走れるのも面白い。
桜花賞トライアルのチューリップ賞は、前走勝ってここで本番の出走権利を得たいものと、暮の阪神JFを戦ったものでひと息入れたものとの戦いという見方をすることにしている。
中でも、ひと息いれてどれほど成長しているかに期待のかかる後者から考えてみたい。
世代トップクラスとみているビップデイジーに注目した。
阪神JFでは、中団から鋭い瞬発力を発揮、上がり3ハロン2位をマークして2着だった。コース取りの差で敗れたと言ってよく、今度は違うと思う。
前走3戦目で折り合いがつけば鋭い脚を使えることを証明してくれた。この加速力は、このコースでこそ生きてくる。
あとは3戦目で心身ともに成長が期待できるマイエレメントを。
「それぞれの 戦う武器を 見せ比べ」