ユニ・チャームのアプリ「ソフィBe」のホーム画面イメージ(同社提供) 女性特有の健康の悩みを解決する商品やサービス「フェムケア」の取り組みが広がっている。矢野経済研究所によると、2024年の関連市場の規模は前年比6.3%増の798億円と見込まれ、今後も拡大が予想される。背景には女性の社会進出が進み、「我慢するしかない」と社会が真正面から向き合ってこなかった課題が可視化され始めたことがある。企業は女性の不調に寄り添おうと知恵を絞る。
「生理に悩んでいる人たちのために届け続けたい」。担当者がこう強調するのは明治が展開する「α―LunA(アルファルナ)」シリーズ。一口サイズのチョコレートなどには、牛乳に含まれるタンパク質の一種、α―ラクトアルブミンを配合した。「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンをつくる材料となる必須アミノ酸が含有されている。
女性の健康課題は年齢層によっても変化する。花王は23年11月にフェムケアシリーズ「TWANY&me(トワニーアンドミー)」を立ち上げた。20代から30代を中心に関心を持つ層が広がっているというデリケートゾーンのケアに注目。専用のボディーソープとクリームは、生理中の臭いやかゆみが気になるといった需要に応えた。
アサヒグループ食品は40〜50代の女性に多い心身の不調を「ゆらぎ」と呼び、こうした年齢層をサポートする健康食品「ララフェム」を販売する。大豆イソフラボンなどを配合。サプリメントに抵抗感を持つ人でも摂取しやすいゼリータイプもそろえ、「ちょっとでも軽やかな気持ちになるための、お守りとして使ってほしい」(担当者)と話す。
「薬を正しく服用すれば、痛い時間をわざわざ我慢しなくていい」と、ライオンの担当者は指摘する。同社は小学生から服用できる生理痛薬「バファリンルナJ」を販売。初潮を迎える前から痛みなどへの適切な対処法を知っておくことが安心感を増すとして、小・中学校向けに生理について学べる教材を提供するとともに、社員が中学校に出向き、生理痛に関する授業を行っている。
ユニ・チャームの生理管理アプリ「ソフィBe」は、生理日を記録すると、ホルモンの変化がグラフで表示され、体調の波が可視化される。担当者は、不調を予測し対処しやすくすることで「自分の体調をコントロールしてほしい」と語る。
【編集後記】
自分自身、「薬や医療機関に頼るほどではない」と毎月の不調に目をつぶっていたが、商品開発者から聞いた「不調を我慢しなくていい」という言葉に目を開かされた。身近なところから自分の心身に向き合う契機になった。(時事通信経済部記者・徳田詩)
生理に伴う心身の不調は、多くの女性が経験する一方、社会ではいまだ十分に語られず、理解されにくい。不調を抱える女性たちが自分をいたわり、より前向きな気持ちで生きるためにもフェムケアの取り組みが広がってほしい。(同・平野文彩)。
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小学生から服用できる生理痛薬「バファリンルナJ」を持つ、ライオンの社員ら=1月31日、東京都台東区
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明治が販売する「アルファルナ」シリーズ=2月20日、東京都中央区
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花王のデリケートゾーン専用のボディソープとクリーム(同社提供)
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アサヒグループ食品が販売する「ララフェム」シリーズ=2月26日、東京都中央区