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就職試験には、複数の受験者が同時に参加するグループディスカッションや集団面接などの選考方法があります。これらは1人でおこなう試験と比べて臨機応変な対応が求められるため、得意とする人は珍しいでしょう。
漫画家の中原るんさんは就職活動中、グループワークの試験が得意で、総合職営業系の選考では8割という高い勝率を誇っていました。この経験を描いた漫画『就活でデスゲームさせられた話』をX(旧Twitter)に投稿したところ、6000を超える「いいね」を集め、大きな反響を呼びました。
ある企業の2次試験に臨んだ中原さんは、他の3名の受験者とともに部屋に案内され、しばらく待っているように指示されます。雑談で緊張がほぐれた受験者たちが和やかな雰囲気になった頃、突如告げられた試験内容は予想もしないものでした。
「いまから皆さんには、この30万円を奪い合っていただきます」
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なんとそれは、受験者4人がそれぞれ剣道部や山岳部などのメンバーとなり、30万円の部費獲得を勝ち取るというまるでデスゲームのようなグループワークだったのです。
与えられた制限時間は30分。各自が予算30万を獲得しようと躍起になる中、中原さんは冷静に状況を分析し、残り5分となった時点で動き出します。まずグループとしての結論を出すことを優先し、多数決にすることを提案するのでした。続いて、それまでの議論の要点をまとめて発表し、発言の最後には「これでどうですか、リーダー?」と、リーダー役への配慮も示します。
実は、これこそが中原さんが考えたグループワークの勝ち筋でした。最後の5分でリーダー役を自分のものとし、人事に強い印象を残す作戦です。この見事な作戦をどのように思いついたのか、作者の中原さんに話を聞きました。
ーグループワークに慣れている印象ですが、どのように考えて行動していますか?
まず、人事の気持ちになって考えました。グループワークで何を見ているのか、どうした人間を合格にしたいのかを考えると「時間を教えてくれる人間(タイムキーパー)ではないな」と。次にお笑い芸人の漫才王座を競うテレビ番組での「トップバッターが不利で後半が有利」という意見を参考に、終わり5分でめちゃくちゃ話す作戦を思い付きました。
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ーご自身の経験から、就職試験のグループワークで選考を通過するためのポイントは何だとお考えでしょうか?
グループワークに限らず、すべての面接で言えることですが、人事に「一緒に働きたい」という印象を持たれることだと思います。グループワークでどんなに発言できても、嫌味で他者の発言をつぶしてしまったり、気性が荒くなるようでは人事に嫌われてしまいます。媚びを売れというわけではありませんが、嫌われたら終わりです。
ーグループワーク後、就活生同士の交流なく解散していましたが、逆に親交を深め、その後も交流が続いたケースはあったのでしょうか?
まったく別の会社のグループワークで一緒になった男の子と付き合ったことがあります(笑)。結果は私のエッセイ『ビバ!楽しすぎるぜ!アラサー独女ライフ』に描いてあるので、気になる方は読んでみてください。
ーお話にでてきた企業には内定をもらったと書かれていらっしゃいましたが、入社されたのでしょうか?
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入社しましたよー!漫画にもしていますが、半年で栄養失調になったのですぐ辞めました。メンタルより体にくるタイプなもので。
ーこれから就活に挑む学生に向けて、なにかメッセージがありましたら、お願いいたします。
あんなにいろいろな人間にそれまでの人生を値踏みされる時期は、この時期しかありません。私は当時、50社程度面接を受けて内々定を3社から貰いました。ちなみに私の職歴は13年で、正社員やアルバイト、取締役員も経験し、現在は個人事業主となって、ぶっちゃけ今が一番楽しいです。人生なんてどうにでもなりますから、悲観したり苦しむ前に、これまで頑張ってきた自分をたくさんたくさん褒めてあげて、どうか相性の良い会社さんやお仕事と出会ってください。
(海川 まこと/漫画収集家)