〔国際女性デー50年〕女性議員、セクハラ深刻=地方議会、3人に1人被害―支援団体「公的な相談窓口を」

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2025年03月02日 07:31  時事通信社

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女性議員らを支援する団体「Stand by Women」の浜田真里代表(本人提供)
 各地の地方議会で、女性議員が男性議員らにセクハラを受ける被害が後を絶たない。内閣府による2021年の調査では、約3人に1人が「セクハラを受けた」と回答。こうした実態が女性の政治参画を妨げているとの指摘もあり、女性議員の支援団体は「自治体などは公的な相談窓口を設置すべきだ」と訴える。

 総務省が23年に行った調査によると、都道府県議会や市区町村議会に女性が占める割合は全国で17.4%にとどまる。1741ある市区町村議会のうち、女性がゼロの議会は224に上る。

 女性議員らを支援する有志団体「Stand by Women」の浜田真里代表によると、女性が1〜2人の議会では女性がハラスメントを訴えにくく、議会でも問題視されない傾向がある。町村議会における女性割合が全国最低の6.4%(23年)という青森県内の女性議員は初当選以来、複数の男性議員からセクハラを受けてきた。

 宴会では頭をなでられ、腰や肩に手を回された。自身の子育ての話をすると子どもの数について「あと5、6人はいけるんじゃない」などと言われた。「セクハラですよ」と伝えても、飲み会のたびに同様の言葉を投げられた。女性は「気持ち悪かったが、訴えても議会での居心地が悪くなるだけと思った」と話す。

 東京都武蔵野市の酒向萌実市議(31)は、同僚の男性議員から「酒向さんがいると華があって良い」と言われ、セクハラと感じた。富山県内の女性市議は宴会でダンスを強要され、見せ物のように扱われた。女性は「いい顔をして盛り上げないといけないと思った」と悔しさをにじませる。

 相次ぐ訴えを受け、21年には候補者男女均等法が改正され、国や自治体によるハラスメント防止が義務化されたが自治体の動きは鈍い。浜田代表は「自治体などは、女性議員が安心してハラスメントを相談できる専門機関を早急につくるべきだ」と強調する。

 【編集後記】「もしセクハラに抵抗していたら、議会内で意見が通りにくくなっていたと思う」。取材中、ある女性議員はそう漏らした。

 地方議会は本来、選挙で選ばれた議員が住民一人ひとりの困り事や要望を聞き、行政の施策にきめ細かく反映させる場所のはずだ。その議会で起きているのが、記事で書くのもはばかられる女性蔑視の発言や行動だった。セクハラなどがある限り、彼女たちは本来の力を発揮できない恐れがあり、それは住民にとっても大きなマイナスになり得る。理不尽なハラスメントが一刻も早くなくなるよう、取材を続けたい。(時事通信社会部記者・葛西理佳)。 


このニュースに関するつぶやき

  • セクハラって言う人によってセクハラでなくなる場合があると思うのだが?あきらかな下ネタ系やボディータッチは、アウトかもしれないが…
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