イチロー「妻が喜んでる姿、笑ってる姿は僕の喜び」妻・弓子さん「イチローが下した決断についていく」米野球殿堂入りまでの二人三脚【独占密着】

2

2025年03月02日 15:46  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

日本人初となる米野球殿堂入りを果たしたイチロー(51、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)。殿堂入り発表前日から発表当日の様子、ニューヨーク(クーパーズタウン)の野球殿堂博物館までの道中など、6日間に密着。野球人生の節目を迎えたレジェンドに、独占インタビューなどを通じて、これまで語ることのなかった真実に迫った。(第1回/全4回)

【写真を見る】イチロー「妻が喜んでる姿、笑ってる姿は僕の喜び」妻・弓子さん「イチローが下した決断についていく」米野球殿堂入りまでの二人三脚【独占密着】

メジャー生活19年で、10年連続200安打、シーズン最多安打(262本)、メジャー通算3089安打と、数々の金字塔を打ち立ててきたイチロー。史上2人目となる満票での殿堂入りが期待されたが、わずか1票足りず得票率99.746%での選出となった。

現地1月21日(日本時間1月22日)、殿堂入り発表の当日、自宅で妻・弓子さんとともに連絡を待つイチローを密着取材。夫婦でともに戦ってきたという2人の秘話に迫った。

弓子さん:選ばれた人だけに(電話が)かかってくるの?

通訳:はい。

弓子さん:選ばれなかったら、じゃあ・・・。

通訳:電話がないんです。

弓子さん:すごいドキドキしてきた。

イチロー:(連絡が)こなかったら、僕はドラフトで指名されなかった、そういう状態だよね。メディアの人を入れてドラフトかかると思ったら、かからず家に帰った人はいっぱいいるもんね。

その時、スマートフォンに着信が・・・。

イチロー:もしもし。

電話主:スズキ イチローと話したいのですが。

イチロー:はい、イチローです。

電話主:私は全米野球記者協会のジャック・オコンネルです。2001年、あなたが新人王を獲得した時も電話しました。今回あなたを日本人として初めて殿堂入りのメンバーに選びました。おめでとうございます。

イチロー:ありがとうございます。あー、良かったね。ありがとう!

(弓子さんら拍手)

イチローの背番号「51」が永久欠番に

さらに、マリナーズのオーナーからも祝福の電話が。イチローの背番号「51」を永久欠番にするとサプライズで伝えられた。日本人選手の背番号がメジャーで永久欠番になるのは、史上初めての快挙だ。

オーナー:イチ?

イチロー:イエス!

オーナー:元気ですか?

イチロー:セニョール、元気ですか?(笑)

オーナー:今年の夏、君の背番号「51」を永久欠番にするつもりだ。そして外野のフェンスにグリフィー、エドガー、ジャッキー・ロビンソンと並べて飾るよ。

イチロー:いや、もうこれは言葉がないくらいうれしい。これは驚きましたね。永久欠番かぁ・・・。こっちの方が想定してないから、これはサプライズでうれしいね。

想定外の出来事にイチローも込み上げてくるものがあったようだ。

イチロー:最後にこれ以上ない、第三者からの評価。今まで野球を始めて終わって引退して、最後にこれが来るんだっていうのが、なんか僕らしくて良かったです。そこはすごくうれしい。僕はずっと誰よりもヒットを打ちたかった。誰よりも守備が上手くなりたかった。走塁も上手くなりたかった。それを地道に重ねてきた結果が今日だということなので。今日の、この日以上のものはない、プロ野球選手にとってはね。しかも最後サプライズで、マリナーズの永久欠番の連絡がオーナーから来て、最後こんなとこに来られるんだなって。

イチローは、自ら歩んできた道のりを改めて振り返った。

イチロー:2001年は、野手として初めて日本人の選手として挑戦したわけですけど、そもそもアメリカで通用するのか、通用するのかってどういうことだよって。僕からしたら本当に失礼な評価から始まって。それが1年目終わってみたら116勝して、そうすると、人の評価っていうのはガラッと変わって。いや、こんな手のひら返すのかって人ってね。そこを見たときに、第三者の評価、人からの評価というのは本当にあてにならないもので。人が評価するから、人がすごいと思うことっていうのは、僕はあんまり信じてないんですよ。でも、重ねてきた時間を振り返ると、感慨深いものがあると、そういう気持ちですよね。ホッとしている。
 

戦友でもある妻・弓子さんとの二人三脚

1999年、イチローは弓子さんと結婚。2000年オフにマリナーズへ移籍が決まり、夫婦でともに海を渡った。

記者:一緒に戦ってきた奥様の拍手している姿はご覧になりましたか?

イチロー:もちろん見ました。感情としてわかりやすく表現するというのはない、そこは共通してるところなんですよね、僕と。でも、思わず出てしまうことっていうのはあるわけで。今日はまさにそうだと思うので、やっぱり彼女が喜んでる姿とか笑ってる姿っていうのは、僕の喜びでもあるので、すごくそれはうれしかったです。

記者:(弓子さんは)どんな顔をしてましたか?

イチロー:いや、そんなに細かく分析するのっておかしいでしょ、カメラの前で。それはカメラ外してすることで、おかしいよ質問として。

記者:でも、一緒に戦って勝ち得た感覚っていうのは強いですか?

イチロー:もちろんですよ。だってずっと一緒にやってきたわけですから。いろいろありましたからね。アメリカにポスティングシステムで挑戦しようというとき、それこそ近くにいる人たちも、応援してくれてないわけじゃないけど、「行っておいでよ」っていうスタンスの人もほとんどいなかったんで。その中で「私は、イチローが下した決断、それについていく」、そこだけだって言ってくれたからね。それがなかったら、そもそも始まっていないから。

翌日の午前6時、イチローの姿は空港にあった。野球殿堂博物館で行われる会見に出席するため、自宅のあるシアトルからニューヨークへ向けて、プライベートジェットに乗り込んだ。

記者:眠る時間はありました?

イチロー:2時間くらい。

記者:メッセージはいろんな人から?

イチロー:メッセージはそうね、今後これ以上はないだろうね。
 

満票ならずも「1票足りないのは一番良かった」

アメリカの野球殿堂入りは、全米野球記者協会に在籍する記者の投票で決まる。イチローには史上2人目、野手では史上初となる満票の期待が寄せられていたが、わずかに1票足りなかった。

イチロー:おもしろいなと思ったのは、みんな満票の方が良かったと思ってる。じゃあ、どっちが僕にとってこれからの将来に、どちらが考えさせられる数字だったのかと思うと、断然1票足りない方がいいわけですよ。もし満票だったら「いやぁすごいね、やったぁ、気持ちいい、以上」だと思うんです。1票足りなかったっていうのは、不完全であるから進める、頑張れる、まあそういうニュアンスですけど。ストーリーができるのはすごくいいと思うし、満票ではそれはできないわけですよ。(満票だったら)「これまでやってきたことがアメリカでも認められて、本当に良かった、以上」なんですよね。だからそういうストーリーがあるのは僕は好きなので、メッセージ性ということを考えても、2票だと悔しい、2票3票だと悔しい、それなら満票の方が良かった。でも1票足りないのは一番良かったと思いますね。

これまでの高得票率は、ヤンキースで歴代最多の通算652セーブをあげた守護神・M.リベラが100%で1位。2位はヤンキースで主将を務め、通算3465安打をマークしたD.ジーターで99.748%。イチローは歴代3位となる99.746%、4位には通算630本塁打を記録し、マリナーズでともに戦ったこともあるケン・グリフィーJr.の99.32%だった。

記者:昔も今も、憧れ続けられる2人に挟まれてる気持ちってどうですか?

イチロー:(ケン・グリフィー)ジュニアは、18歳の時に存在を知って、そんな選手とチームメートに2009年になれたことだけでも夢が叶った一瞬だったし、まさか殿堂入りしてこうやってジュニアと並べるなんて望外の喜びです。

記者:ジーターの存在は?

イチロー:(マリナーズ時代は)同じディビジョン(地区)にいなかったので、数は少なかったですけど、敵としては一番嫌な相手でした。(ヤンキースで)チームメートになったとき、一番心強い選手でした。外から見ていた以上の存在だった。何よりジーターを中心にいろんなものが組み立てられている。そんな選手いないですよ。キャプテンと言われる選手はいますけど、あれ以上はいないと思いますよ。僕がプレーした時代にはいませんでした。

妻・弓子さんからのプレゼント


イチローはこの日、自身の背番号「51」をモチーフにしたネックレスを首からかけていた。

イチロー:(ネックレスを触って)これは今回のために、弓子がプレゼントしてくれたんですよ。

記者:いつもらったの?

イチロー:直前ですね、はい。だからこれも、昨日電話来なかったらつけられない(笑)。電話が来て良かったなと思った一つです。まぁやっぱり、人の気持ちはうれしいよね。

(第2回へ続く)
 

このニュースに関するつぶやき

  • そなたらの苦しみはわしの喜び!ゾーマ様とは逆の考えのようね。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定