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36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、1審で死刑判決を受けた青葉真司死刑囚(46)が控訴取り下げの理由を弁護人に説明していることが、関係者への取材で明らかになった。控訴審でも事件を巡る自らの言動について、弁護側が「妄想」と主張することに不満があったという。弁護人は取り下げを無効とするよう大阪高裁に申し立てている。
関係者によると、裁判官や検察官、弁護人の3者が集まる非公開協議が2月28日に実施され、弁護側から取り下げの経緯について説明があった。死刑囚は弁護人に相談せずに取り下げており、弁護側は「一時的な衝動で死刑を確定させるべきではない」と主張したという。
京都地裁で開かれた1審で、死刑囚は京アニに自らの小説を盗用されたと思い、恨みを抱くようになったと説明。弁護側は精神障害による妄想の影響があり、刑事責任を問えないとして無罪を主張した。
これに対し、地裁は24年1月の判決で、妄想が一定の影響を与えたとしたが、「自身の意思で放火を実行した」と認定。完全責任能力を認め、求刑通り死刑を言い渡した。
判決後、死刑囚と弁護側は大阪高裁に控訴。死刑囚は約1年たった今年1月27日付で自ら控訴を取り下げた。控訴審でも責任能力が争われる見通しだったが、死刑囚は弁護人の聞き取りに対し、事件を巡る一連の言動について、妄想とされることに不満を漏らしたという。
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一方で、死刑囚は取り下げについて「後悔している」とも話しているとされる。弁護側が取り下げを無効とするよう求めていることから、高裁は今後、検察側の意見も踏まえて取り下げの有効性を判断するとみられる。【高良駿輔】
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