金利が上がっている今、「Jリート」は買った方がいい?

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2025年03月03日 12:20  All About

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Jリート(REIT)とは「日本の不動産投資信託」のことで、小口でも幅広い物件に分散投資できる投資信託のことです。ご質問者さまのいうとおり、Jリートは今下がっています。果たして、今が買い時なのでしょうか?
先日、読者さまから以下の質問が届きました。

「金利が上がりましたがJリートは買った方がいいの? 今、株価が安いと思いますが」

ご存じでない方に向けて補足すると、Jリートとは「日本の不動産投資信託」のことで、小口でも複数の物件に分散投資できる投資信託のことです。

1つの物件を買うために何百万円、何千万円と用意する必要がないのと、少額でも多くの物件に分散できることから、幅広い投資家に利用されています。

ご質問者さまのいうとおり、Jリートは今下がっています。果たして、今が買い時なのでしょうか?

Jリートの経験則

筆者がJリートの買い時を考える時は、スプレッドに注目します。

スプレッドとは「リスクをとった場合の利回り」と「リスクを取らない場合の利回り」の差を表しています。ここでは、長期金利と分配金利回りの差を指します。

長期金利は、国債を買うことで実質ノーリスクで受け取れる利回りです。

一方、Jリートの分配金利回りは、不動産投資をして、リスクを取ることで受け取れる利回りです。

筆者は、Jリートの分配金利回りと長期金利のスプレッド(差)を見ます。スプレッドが広がれば広がるほど、リスクをとる旨み(プレミアム)が大きいと言えるからです。

直近10年で、長期金利と平均予想分配金利回りのスプレッド(差)が4%以上になると、REIT指数が底打ちしやすいです。この経験則は、新聞などで「4%の壁」と呼ばれることもあります。

最近だと、2017年にREIT指数が低迷した時も、スプレッドが4%を超えたところでREIT指数が反発して、それから2年かけて40%ほど値上がりしました。

Jリートの総合情報サイト「J-REIT.jp」で調べてみたところ、長期金利は1.09%、Jリートの予想分配金利回りは5.15%です。スプレッドは5.15−1.09=4.06%で、4%を超えています。

経験則だけを見れば「今が良い買い時」に見えます。

長期金利が上がるとJリートも下がる

とはいえ、話はそんなに簡単ではありません。

確かに、今のスプレッドはここ10年で最も広いですが、同時に、足元では日銀が利上げを始めていて、長期金利が上昇している点にも注目する必要があります。

2013年以降、日本では金利がほぼゼロという超低金利が続いてきました。しかし、低金利の反動として物価が上がり始めています。足元では物価が年3%近いペースで上がっています。そう考えると、今の金利はインフレよりも低い水準で「低すぎる」ように見えます。

もしも日銀がこれからも金利を引き上げていくと、長期金利も上がっていきます。それこそ長期金利が2%まで上がると、Jリートと長期金利のスプレッドは3%まで縮んでしまうでしょう。

つまり、「Jリートが買い時かどうか」は、日銀が「どこまで利上げをするか?」に大きく左右されます。

ここで利上げをストップする、という話であればJリートはこの上ない買い時だと思いますが、現実問題として、長期金利は2025年2月5日には1.28%まで上がってきています。筆者はまだ長期金利が上がる気がするので、「今が買い場ではない」と考えています。

仮に筆者がJリートを買うとしたら、今のスプレッドを維持しつつ、日銀が利上げを止めることを示唆したタイミングです。そうなれば、一気に反転する気がします。

投資商品の買い時を探るのは難しいですが、本記事でご紹介したように、筆者は「スプレッド(投資先の利回りと長期金利の差)」を強く意識します。

これはJリートに限らず、あらゆる投資商品に使える分析テクニックですから、参考になれば幸いです。

文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)

18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。
(文:中原 良太(個人投資家・トレーダー))

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