時代をこえる“非主流”の血脈 歴代屈指の名ステイヤー・メジロマックイーンが現代に遺した功績

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2025年03月04日 08:00  netkeiba

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宝塚記念優勝時のメジロマックイーン(c)netkeiba
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【メジロマックイーン】

 現役時代に天皇賞(春)を2回、菊花賞、宝塚記念を制覇。年度代表馬にはなれませんでしたが、わが国における歴代最強クラスのステイヤーです。のちに顕彰馬に選出されました。

 力のいる馬場における強さは傑出しており、芝の重・不良では4戦して[2-1-0-1]。着外となったレースは天皇賞(秋)の18着降着で、実際のレースぶりは、後続を6馬身引き離しての1位入線でした。2着と敗れたレースは、デビュー2戦目のゆきやなぎ賞。初芝でソエが出ていたことが敗因です。

 阪神競馬場の芝は、91年の年末開催から94年の2月あたりまで、おそろしく時計のかかる馬場コンディションでした。パドスールやノーリュートといった、ほかの競馬場では目立つところのない鈍重なヨーロッパ血統が大活躍したものです。

 メジロマックイーンは、この期間の阪神で重賞に3回出走し、すべて危なげなく勝ちました。1993年の宝塚記念もそのひとつで、良馬場の芝2200mの勝ちタイムは2分17秒7でした。

 メジロマックイーンは「メジロティターン×リマンド×ヒンドスタン」という、ほとんど時代錯誤的な非主流のスタミナ血統で構成されています。古風なヨーロピアンの風格があり、タフな馬場で無類の強さを発揮したのもうなずけます。

 ただ単に力の要る馬場コンディションに適性がある、というだけでなく、引退レースとなった芝2400mの京都大賞典では、2分22秒7というコースレコードで快勝しました。次走ジャパンCを勝つことになるレガシーワールドを問題にしませんでした。こうした得がたい個性、ポテンシャルの高さが血の優秀性を証明しています。

 種牡馬としては、ホクトスルタン、ディアジーナ、ヤマニンメルベイユ、エイダイクイン、タイムフェアレディといった重賞勝ち馬を出し、それなりの実績を残しました。牝馬の活躍が目立った種牡馬でもあります。

 血統シーンの最前線に躍り出たのは「母の父」としての活躍です。ドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟、ゴールドシップの3頭がGI戦線で大活躍。これらはいずれもステイゴールドの仔です。それだけでなく、タイセイレジェンド、フーラブライド、ラブイズブーシェ、フェイトフルウォーが重賞を勝っています(フェイトフルウォーもステイゴールド産駒)。

 スタミナ、底力、成長力といった要素を、サンデーサイレンス系を中心とする現代の主流血統に注入した功績は大きく、たとえばオルフェーヴルがロンシャン競馬場の道悪を苦にしなかったのは、メジロマックイーンの血を抜きにしては考えられません。

 ドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟、ゴールドシップの血は、父方、母方を問わずわが国の血統のなかに残り、スタミナ、底力、成長力といった特長を末永く伝えていくと思われます。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「世界で最も高額な種付け料を取る種牡馬は?」

 2025年の種付け料トップは、イギリスに繋養されているフランケルとドバウィの2頭。いずれも35万ポンドです。日本円に直すと約6600万円。日本史上最高額のディープインパクトが4000万円なので、その1.5倍以上という数字です。

 アメリカは、25万ドルでイントゥミスチーフとジャスティファイが並んでいます。日本円で約3800万円なので、ヨーロッパの2頭には及びません。

 ちなみに日本は、キズナ、キタサンブラック、イクイノックスの3頭が2000万円で並んでいます。

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