ホワイトハウスで記者団の質問に答えるトランプ米大統領(左)とラトニック商務長官=2月25日、米ワシントン(EPA時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権は4日、カナダ、メキシコからの輸入品に25%の関税を課す措置を発動する計画だ。米国に入国する不法移民の人数は減少したものの、合成麻薬フェンタニルの流入は続いており、対策が不十分とみている。カナダとメキシコは米国への協力姿勢を示した上で発動回避を求めており、米政権との協議は大詰めを迎えている。
中国には、2月4日に適用した10%の追加関税を20%に引き上げる予定だ。
ラトニック米商務長官は3月2日、米メディアのインタビューで、カナダとメキシコへの関税について、予定通り4日に発動するとしつつも、「何をするのか、大統領の決定に委ねられている」と話し、税率や対象品目などを変更する可能性を示唆。予断を許さない状況だ。
トランプ氏は2月1日、不法移民と合成麻薬の米国流入への対抗策として、カナダ、メキシコからの輸入品に25%の関税、中国には10%の追加関税を課すと決定。ただ、国境警備の強化でカナダ、メキシコと合意したため、両国への関税発動を3月4日まで1カ月延期していた。
両国は、閣僚や政府高官を米国に派遣し、米政権と国境警備のさらなる強化に向けて協議を重ねてきた。トランプ氏は2日、SNSに「先月、違法な越境は、過去最低となった。ありがとう」と投稿し、不法移民対策の進展を評価。米政権は一方で、「フェンタニルは米国人を殺し続けている」(ラトニック氏)と麻薬対策では成果が出ていないと問題視している。
カナダのトルドー首相は2月27日、米国に協力するとしつつも、関税が発動されれば、「即座に極めて強い対応を取る」と表明し、報復を示唆。メキシコのシェインバウム大統領は、関税撤回に向けた働き掛けを続ける考えを示している。