難局打開へトップ交代=初の外国人起用も、刷新感に疑問符―セブン&アイ
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2025年03月04日 08:02 時事通信社

セブン&アイ・ホールディングスが、主力のコンビニ事業の不振や株価の低迷という「内憂」と、カナダの同業による買収圧力にさらされる「外患」に直面し、経営トップ刷新で難局打開を図る。井阪隆一社長(67)の後任には社外取締役のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏(64)が就く方向で調整。同社で初の外国人トップとなるが、市場では刷新感に乏しいとの声も出る。
セブン&アイを巡っては、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが約7兆円もの巨額買収を提案。有力な対抗策だった創業家による買収・非上場化の提案は、資金調達のめどが立たずに頓挫した。自力成長を目指すのであれば、株主をはじめステークホルダー(利害関係者)が納得する企業価値向上策を早急に示す必要がある。
局面打開に向け白羽の矢が立ったのは、西友の最高経営責任者(CEO)などを歴任したデイカス氏だ。日米の小売業に携わった実績や、組織運営、マーケティングに関する知見を買われて2022年にセブン&アイの社外取締役に起用された。現在は、アリマンタシォンからの買収提案の受け入れ可否などを検討する特別委員会の委員長も務めている。
3日にトップ人事が報じられると、セブン&アイの株価は一時急騰したが、結局、前営業日と比べ約2%の小幅上昇で取引を終えた。社外取締役としてセブン&アイの経営に関与してきたデイカス氏の起用は新味に乏しく、市場からは企業価値向上に向けた具体的な計画を見なければ「何とも言えない」(証券大手)と半信半疑の声が上がった。
セブン&アイは近く、新たな成長戦略を発表する予定だが、株主や市場の信認を得られなければ買収提案をはねのけるのは容易ではない。デイカス氏は難しいかじ取りを迫られそうだ。
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