【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第33回 プレッシャーに打ち勝つ! サムライブルーの気分転換

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2025年03月04日 12:21  週プレNEWS

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3月20日のバーレーン戦での活躍が期待される板倉滉

いよいよ、来年の北中米W杯出場をかけた大一番が目前に。重度のプレッシャーが常につきまとうサムライブルーたちはいったいどのように気分転換を図り、好調を維持し続けているのか。先発フル出場を続ける板倉が明かす、とっておきのツールとは。

■重圧に負けないメンタルケア

北中米W杯アジア最終予選のバーレーン戦(3月20日)が迫ってきた。僕を含めて欧州組はおのおののクラブで過密日程の中、戦っているだけに、ホームの埼玉スタジアムで迎え撃つことができるのはかなりのアドバンテージだ。

ここまで5勝1分けと負けなしでこられているのも大きい。もし、前回のカタールW杯アジア最終予選のときのように決して負けが許されないギリギリの状況だったら、相当きつかっただろう。

考えたくもないが万が一、今度のバーレーン戦を落としたとしても、次のサウジアラビア戦(3月25日)もホームゲームなので、身体的にもメンタル的にもだいぶ違う。しっかりと気を引き締めてバーレーン戦で勝利し、W杯本大会出場の切符を手にしたい。

さて、そんなプレッシャーのかかる招集期間、僕らは練習や試合以外のひとときをどうやって過ごし、気分転換を図っているのか話してみたい。

2次予選や最終予選の場合は招集期間が短いので、だいたい食事が終わるとリラックスルームと呼ばれる空間に行って、ゆったりとソファに腰かけ、コーヒー片手に話すことが多い。

いつもいるメンバーは、(長友)佑都君や(南野)拓実君、(堂安)律に(菅原)由勢、橋岡(大輝)といったところだろうか。みんな一度話し出すと止まらない。毎回、話が抜群に面白いのは佑都君。勉強になることもたくさん言ってくれる。拓実君もそう。で、イジられるのは愛されキャラの由勢。

ただ、和やかな雰囲気じゃないときもあった。前回のW杯最終予選の頃は、戦術の見直しや打開策、個々の改善点などについて激論を交わした。それでも、みんなと語り合うひとときは本当に心の支えになっている。

W杯本大会に入れば、長期間にわたり一緒に過ごすことになる。もちろん緊張と重圧は計り知れない。そんなときに、おしゃべりと並んで気分転換になる娯楽が卓球だ。

カタールW杯のときはコロナ禍もあって、外出が制限されていた。なので、宿泊先のホテルが卓球台を用意してくれた。ごはんを食べ終わった後は、台が設置された部屋へ直行だった。

参加メンバーはその時々で違うが、前述のお茶仲間はだいたいエントリーしてくる。人数が多いときは、1ゲーム5点制の勝ち抜き戦でどんどん順番を回していくが、逆に少ない場合は、本来のルールに倣って1ゲーム11点制で勝負する。ちなみに自分で言うのもなんだが、僕はけっこううまいほうだと思う(笑)。ライバルは律。毎日熱戦を繰り広げていた。

当時、ホテル側はビリヤード台も用意してくれていて、これもありがたかった。卓球と並んで抜群の才能を発揮していたのは、酒井宏樹君。僕はそこで初めてビリヤードをやったが、宏樹君の腕前には驚かされた。

こうして何かに没頭できる時間は、僕らに解放感を与えてくれた。ただひたすらサッカーのことだけを考えていたら、ドイツやスペイン戦のような良いパフォーマンスはなかったかもしれない。

■試合前に聴く音楽は?

張り詰めた重苦しい雰囲気や、外からのよけいなノイズを遮断してくれるツールはまだある。それは音楽だ。

試合会場入りする際、バスから降りてきた選手たちがヘッドホンを着けて歩いていく場面を日本代表の密着動画や、テレビなどで見たことがある人も多いだろう。僕も含めてみんなが何を聴いているのか、たまに聞かれることがあるので、お答えしたい。

そもそも、会場へ向かうバスの中では、みんなでワイワイ話すことはしない。それぞれが音楽を聴いている。だから車内は驚くほど静かだ。僕は意識的にテンションの高い音楽を聴いて気分を高揚させるというタイプではない。

試合直前に、しっとりとしたバラードを聴くこともある。ただ、キックオフが近づくと、いつの間にかアップテンポの曲を選んでいることも多い。ジャンルは洋楽、邦楽、K-POPなどさまざま。とにかく音楽は大好きだ。

一方で、音楽を聴いて自分を高ぶらせている選手もいる。中山雄太がそうだ。彼はONE OK ROCKのライブ動画が大のお気に入りだという。カタールW杯のときは、先輩たちも多くいて、選手間では湘南乃風やケツメイシによるアゲアゲの楽曲がヘビーローテーションだった。

僕らも人間だ。機械じゃないので、時々心と頭を解きほぐす空間や場所、手段を必要としている。それらがなければ、とてもじゃないがパンクしてしまう。ベストパフォーマンスにはちょっとしたリフレッシュが必要不可欠だと思う。

構成・文/高橋史門 写真/アフロ

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