
みなさんは、裁判員制度について知っていますか。刑事裁判に直接国民が関わることで、より国民の理解しやすい裁判を実現するために導入された制度です。裁判員に選ばれるのは、ひとつの裁判につき原則として6人。選ばれた人は裁判官とともに被告人が有罪かどうかを判断し、有罪の場合にはどのような刑を科すのかを決定します。
裁判員制度の存在は知っていても、実際に選ばれたことがある人が身近におらず、「本当に選ばれる人はいるの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。ママスタコミュニティにもあるママより裁判員制度に関する質問が寄せられました。紹介します。
『裁判員裁判、私のところに来ない。地方に住んでいると選ばれるなんてないのかな』投稿者さんは裁判員制度に興味があるものの、これまで一度も選ばれたことがなく、「地方に住んでいるから選ばれないのでは?」と推測しています。たしかに身近に裁判員経験者がいないと「本当に一般の国民が選ばれているの?」「どんな人が選ばれるの?」と疑問に感じてしまいますよね。
裁判員裁判の対象となるのは地方裁判所で扱われる刑事事件ですが、すべての事件が対象になっているわけではありません。国民の意見を採り入れるのにふさわしい、国民の関心が高い重大な犯罪に限定されるとのこと。そのため、「地方在住だから選ばれない」ということはなさそうですね。はたして選ばれたことのある人はいるでしょうか。ママたちの声を紹介します。
ある日突然、裁判所から封書が届いた!
『10年前に選出されたって最高裁判所から封書がきたよ。任期は1年間で更に選ばれることなく終わったけど。宛名の下にデカデカと「最高裁判所」と書かれていたから、内容を知るまで「えっ? 私、訴えられるようなことした?」とめっちゃドキドキしたのは忘れられない』
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『裁判員裁判が始まって「1回目に選ばれるかも」とデカい封筒で届いたわ。結局選ばれなかったけど』
『何年か前に選ばれた。封書が来て、アンケートやDVDが入っていたよ。「もし呼び出されたら行けますか?」といった聞かれるアンケートだったかな。あの頃は子どもが赤ちゃんだったから、そのことを書いた。そのためなのか呼び出されることはなかった』実際に裁判員として参加するまでには、何段階かの手続きがあるようです。その最初の段階である候補者に選ばれたことがあると教えてくれたママたちがいました。裁判所からの通知をもらって初めて裁判員制度を知った人もいるかもしれません。裁判所からお便りを届くことはめったにないでしょうから、封筒が届いて「自分は何か悪いことをしたのか」と緊張してしまったママの気持ちも分かりますね。
裁判員になった人を知っている
『旦那がやった』
『地方のど田舎の中小企業だけど 会社の人がやったみたい。どんな裁判かも知らないし、社内でも選ばれたとは公にはならないけど何回も休むし、どんどん元気がなくなっていったよ。言えないだろうし、まわりも聞けないし、しんどいと思う』
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あるママからは「裁判員に選ばれるのは宝くじにあたる確率ぐらい」という言葉もあり、裁判員に選任される人より、選任されたことのない人のほうが多いかもしれませんね。
選ばれたことは人に言っていいの?
なかには「裁判員に選ばれたことを話してもいいの?」と気になっているママもいました。裁判員になると家族や親しい人に事情を伝えたり、職場に伝えて休暇を取ったりする必要があります。日常生活の範囲で、身近な人に「裁判員になった」と話すことは特に問題ありません。
『選ばれたことは言ってもいいでしょ』
『選ばれると会社を休むこともあるから、職場の人の理解を得るために話していいことになっていると思うよ』ただ裁判員でいる間は、選ばれたことを不特定多数の人に知らせることは禁止されています。任務を終えた後であれば、本人が「裁判員をした」とインターネット上のホームページ、ブログ、SNS等で話すことは禁止されていません。
『私もしたけど、法廷で見聞きした内容は裁判中でも話してもいいんだよ。判決が出た後は、詳細はダメだけど、裁判員裁判のことは広めてほしいって』
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裁判員経験のあるママたちの言葉に、選任されたことのないママは興味津々。裁判員候補になった場合も、妊娠中や育児・介護などで難しい場合もあるかもしれません。ただもし裁判員に選ばれて任務ができそうでしたら、貴重な体験として向き合ってみるのもいいのではないでしょうか。
参考:最高裁判所「裁判員制度Q&A」
文・安藤永遠 編集・井伊テレ子 イラスト・Ponko