Xiaomiが3月2日に、スペイン・バルセロナで「The Next Pinnacle」と題して、新製品発表会を開催した。「Pinnacle」は頂点の意。発表したのは、スマートフォンのフラグシップ「Xiaomi 15」シリーズだ。
発表会では、まずXiaomiの2024年度の成長について紹介。スマートフォンをはじめとするスマートデバイスが好調だったことに加えて、中国で初の電気自動車「Xiaomi SU 7」が大きな話題となったことも紹介した。3月3日から開催されるMWC 2025には、そのスポーツカーバージョンともいえる「Xiaomi SU7 Ultra」も出展する。
●Googleとも連携してAI機能に注力 Xiaomi 15シリーズはフル装備
続いて「Xiaomi HyperOS」の進化点も紹介した。同パートでは、特に上位機種が対応する「Xiaomi HyperAI」について詳しく紹介した。具体的には、AIによる文章生成、文字起こし、要約、翻訳、検索、画像生成などを利用可能。前モデルのXiaomi 14は対応せず、Xiaomi 14Tシリーズからの対応だったが、Xiaomi 15シリーズは最初からフル装備。Xiaomi 14もアップデートによって対応する。
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Googleとのパートナーシップにより、Xiaomi 15シリーズにGoogleの「Gemini」を搭載するもアピールした。発表会には、AndroidのVice Presidentで技術担当のErik Kay氏が登壇。Xiaomi 15シリーズは、Geminiのフルサービスに対応し、「Google One AI Premium」プランの3カ月が付属することも明かした。中国版のXiaomi 15シリーズはGeminiに対応していないので、ここは中国版とグローバル版の大きな差分となる。
Xiaomi 15シリーズは、ベーシックな「Xiaomi 15」と上位モデルの「Xiaomi 15 Ultra」の2モデル展開。どちらもSoCに「Snapdragon 8 Elite」を採用し、ライカと共同開発したカメラを搭載するハイエンドモデルだ。
●“コンパクトフラグシップ”に位置付けられるXiaomi 15
Xiaomi 15は6.36型の大きなディスプレイを搭載しつつ、四方のベゼルを究極(1.38mm)まで細くし、コンパクトで軽いボディーを実現している。ディスプレイは最大輝度が3200ニトで、1〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応。超音波式の指紋センサーによってロック解除をスピーディーに行える。
ライカと共同で設計されたカメラは、超広角(50MP/F2.2/14mm)+メイン(50MP/F1.62/23mm)+望遠(50MP/F2.0/60mm)という構成。メインと望遠は通常、4つの画素を1つにまとめ効率よく採光するピクセルビニングを用いる。倍率を上げて撮影する場合は、画素の結合を解除して、切り出しズームのように一部の画素を用いて撮影する。これによって、焦点距離が46mmと120mmの画角でも光学ズーム相当の鮮明な画質で撮影できる。
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進化点としてアピールしたのが、ストリートスナップの撮りやすさ。約0.6秒という速さで撮影できるため、動きのあるシーンの一瞬を鮮明に切り取ることができるという。ポートレートモードも強化。夕景に映えるように映る「サンセット・ポートレート」を紹介した。
カラーバリエーションは、ホワイト、ブラック、グリーンの3色に加えて、背面が波打つように隆起したリキッドシルバーも用意する。
バッテリー容量は前モデルから630mAh増えて5240mAhに、より高いスタミナを確保した。さらに、90Wの急速充電と、50Wの急速ワイヤレス充電にも対応している。
●望遠カメラが進化したXiaomi 15 Ultra これまでにない本体カラーも
続いて、発表会の目玉といえるXiaomi 15 Ultraを紹介した。前モデルのXiaomi 14 Ultraはブラックとホワイトの2色だったが、新色としてシルバークロームが登場する。シルバーと黒を組み合わせたカメラライクな配色で、フォトグラフィーキットを付けなくてもライカらしさをアピールできそうだ。
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ブラックは赤いリングがアクセントになっていて、ホワイトは高級感がある。ボディーの耐久性も強化しており、フロントパネルのシールドガラスは前モデルに比べて16倍の強度を実現しているとのこと。
ディスプレイは前モデルと同じ6.73型だが、最大輝度は3000ニトから3200ニトに向上。1〜120Hzのリフレッシュレートにも対応している。
カメラの進化を紹介するパートでは、ライカのCEO、Matthias Harsch氏が登場した。同氏は「Xiaomiとパートナーシップを組んで4年になるが、両社によって大きな成果となった。昨年(2024年)、Xiaomi 14を成功させた後は、それ以上のものを作れるかが懐疑的だったが、最高の製品が作れた」とアピールした。
そのカメラはメイン(50MP/F1.63/23mm)+望遠(50MP/F1.8/70mm)+望遠(200MP/F2.6/100mm)+超広角(50MP/F2.2/14mm)という構成。メインカメラにはソニー製の1型センサーを採用している。前モデルからの大きな変化は、2億画素のペリスコープ望遠カメラ。望遠域が広がり、画質も向上するので、プロカメラマンがレンズを交換して撮る写真を、これ1台でカバーできるという。Xiaomi 15と同じように、高速シャッターや暗所撮影での性能も向上している。
カスタマイズ性が強化され、バッテリー容量が増えたフォトグラフィーキットも投入する。赤をアクセントとした「Legend Edition」で、これを取り付けることによって印象が大きく変わり、より快適にカメラを操作できる
価格はXiaomi 15の通常モデルは999ユーロ(約15万7000円/12GB+256GB)、リキッドシルバーは1099ユーロ(約17万2000円/12GB+512GB)。Xiaomi 15 Ultraは1499ユーロ(約23万5000円/12GB+512GB)と発表された。フォトグラフィーキットは199.99ユーロ(約3万1000円)となっている。
●Xiaomi 15シリーズのファーストインプレッション
発表会後には、発表されたデバイスにいち早く触れることができた。最も注目を集めていたのは、やはりXiaomi 15 Ultraだ。筆者は前モデルのXiaomi 14 Ultraを使っているが、サイズは同等。背面パネルの仕上げや細部の質感など、デザインはより洗練された印象を受けた。
カメラの操作性は前モデルと同等だが、望遠カメラが強化されている。前モデルのメインカメラにあった可変絞り機能がなくなっていたのが気になったが、その分、AIが進化し、高速シャッターや暗所での撮影画質が向上していることは評価できそうだ。
日本での発売はまだ正式に発表されていないが、日本の技適を取得済みであることは確認した。日本で発売されることは間違いないだろう。
Xiaomi 15はコンパクトで軽く、ちゃんとスペックシートを見ないと、Xiaomi 15 Ultraとはかなり性能差があると思ってしまうかもしれない。しかし、実際には同じプロセッサを搭載し、操作感はサクサク。大幅に強化されたAI機能もUltraと同じだ。“高性能コンパクト”という意味では、Galaxy S25がライバルになりそうだ。
前モデルのXiaomi 14は日本では発売されなかった。発表会で触れたXiaomi 15では技適は確認できなかったが、Xiaomiは日本で販売する機種のラインアップを増やしている。個人的には、2025年はXiaomi 15も日本でリリースするのではないかと期待を込めて予測する。
●Wi-Fiイヤフォンから電動スクーターまで、守備範囲の広さをアピール
発表会は2時間近くに及んだ。Xiaomi 15シリーズの他には、タブレット、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤフォンも発表された。それぞれ日本で発売される可能性が高い製品だ。
タブレットは、11.2型でXiaomi Hyper AIを搭載する「Xiaomi Pad 7」シリーズ。通常モデルは399ユーロ(約6万3000円/8GB+128GB)、チップ性能が高い上位モデルの「Xiaomi Pad 7 Pro」は499ユーロ(約7万8000円/8GB+256GB)を投入する。また、Xiaomi Pad 7 Proには反射を抑えて、ペンでの操作性を向上するMatte Glass Versionも用意され、価格は649ユーロ(約10万2000円/12GB+512GB)だ。
ワイヤレスイヤフォンは「Xiaomi Buds 5 Pro」をリリース。注目はBluetooth接続の通常モデルに加えて、Wi-Fiで接続するモデルが登場すること。通常モデルは199.99ユーロ(約3万1000円)、Wi-Fiモデルは219.99ユーロ(約3万4000円)となっている。Wi-Fiモデルで実際に音楽を聴いてみたところ、厚みがあり、安定感がある音質で聴こえた。やや音量を大きめにして、迫力を楽しみたい人におすすめだ。
スマートウォッチは、カスタマイズの自由度が高い「Xiaomi Watch S4」が159.99ユーロ(約2万5000円)で登場。画面が大きめのスマートバンド「Xiaomi Smart Band 9 Pro」は79.99ユーロ(約1万3000円)となる。
さらに、電動キックボードの新モデル「Xiaomi Electric Scooter 5 Max」も発表した。価格は599.99ユーロ(約9万4000円)。ただし、日本で発売される可能性は極めて低いだろう。
発表会の最後に、Pinnacle(頂点)をさらに推し進めるアクセサリーとして「Xiaomi Modular Optical System」を発表した。コンセプトモデルとして発表したもので、詳細は明らかにされていないが、スマホに取り付けて使えるレンズカメラで、かつてソニーが発売していたレンズスタイルカメラを想起させるものだ。今後の展開に注目したい。
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