“当てずっぽう”で仕事する部下、どうしたら良い?

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2025年03月04日 15:11  ITmedia ビジネスオンライン

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「当てずっぽう」では安定的な成果は出ない(イメージ)

 ある課長から相談を受けた。


【画像】何がセンターピンなのかを見極める


 「うちのメンバーに『当てずっぽうで仕事する、残念な部下』がいるんですよ」


 とにかく行動力がすごい。スピード感もある。誰よりもチャレンジ精神を持っている。なのに、なかなか成果が出ない。そんな部下を、どう指導したらいいのか、という相談だ。


 そこで今回は、いつも当てずっぽうに仕事をする部下の3つの特徴と、その指導方法を解説する。部下育成に悩んでいる経営者、マネジャーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい


●当てずっぽうな部下の3つの特徴


 まず、当てずっぽうな部下の特徴を紹介しよう。3つある。


1. 仮説なき行動が多い


2. 成果が出るときもあるが再現性がない


3. 憎まれないので応援される


 それでは、一つ一つ解説していこう。


仮説なき行動が多い


 ボウリングに例えるなら、力任せにボールを投げているような状態だ。一生懸命投げているのだが、まるで期待した通りにスコアが上がらない。レーンのコンディションや、ボールとの相性などを考えずに投げ続けているからだ。


 仕事でもそうだ。行動量は多いし、意思決定スピードも速い。元気でエネルギッシュだ。しかし、どうすれば成果がアップするか考えられていない。


 例えば営業なら、何社も訪問して人脈を築こうとする。しかし戦略がない。どのようなお客さまに、どのような商材を、どのような手段で営業活動するのか? 過去のデータを見て分析し、仮説を立てて改善しようとする気がない。


 だから頑張っている割には、なかなか成果が安定しないのだ。


成果が出るときもあるが再現性がない


 とにかく行動量が多い。当てずっぽうで撃ちまくれば、どんなに腕が悪くても、いつかは当たるだろう。いわゆる「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」なのだ。


 「新規のお客さまから、たまたま大口契約をもらいました!」


 「なんとなく思い付いたアイデアなんですが、企画を出したら採用されました」


 こんなことが、たまにある。しかし、なぜその成果が出たのかを深掘りしない。そのため再現性がない。逆に、なぜ失敗したのかも曖昧だ。後輩ができたとき、どうすればうまくいくのかを言語化して説明できない。


憎まれないので応援される


 当てずっぽうで仕事をしているので、当然要領は悪い。しかし、人からはあまり憎まれない。理由は、頑張っているからだ。一所懸命に努力を続けている。なので、困っていると惜しみなく協力してくれる仲間は周りにいる。


●センターピン思考とは何か?


 では、この当てずっぽうな状態から脱却するには、どうしたらいいのか? 大事なのは「センターピン思考」だ。


 ボウリングのセンターピンは、一番影響力のあるピンだ。これを倒すと周囲のピンも連鎖的に倒れていく。同じように、仕事においても


 「ここさえ押さえておけば大丈夫!」


 といった、最も大切なポイント(センターピン)というものがある。そのポイントを押さえることで他の要素もうまく回り出す、ということだ。


 例えば、社内で企画を通すときは、企画の内容をしっかりと作り上げることも大事。しかし、どんなに素晴らしい企画を作っても、本部長がダメと言ったら企画が通らないのなら、この場合の「センターピン」は“本部長との関係性”ということになる。


 つまり本部長との関係性さえできていれば、それなりの企画なら通ってしまう、ということだ。要領のいい人は、この「センターピン」を見つけるのがはやい。まさにセンターピン思考の持ち主なのだ。


●どこにリソースを選択と集中させるか?


 どこにリソースを選択と集中させるか。当てずっぽうに行動している人は、この思考がない。


 「問題が山積みで、どこから手を付けていいか分からない」


 「とにかく一つ一つ解決させていくしかない」


 このような発想になりがちだ。だから努力している割には、物足りない成果しか出せないのだ。いっぽう、センターピン思考を持っている人は、どこにリソースを選択&集中させるかをハッキリしている。


 「いろいろ問題はあるけど、ここさえ外さなければ、大抵うまくいく」


 という発想ができる。野球で例えると、分かりやすいか。当てずっぽうな人は、


 「先発ピッチャーも、クローザーももっと力のある選手が欲しい。長距離バッターも必要だし、積極的に盗塁できる野手もだ。もちろん、守備ももっと鍛えないといけない」


 と、アレコレ考える。しかしセンターピン思考がある人は、


 「うちのチームは、中継ぎのピッチャーだけを強化する。いろいろと物足りない部分はあるが、優秀な中継ぎピッチャーさえそろえば、Bクラスになることはない」


 このように割り切ることができる。営業の成果を上げるにも、どこに一番エネルギーを注ぐべきかが分かっている。


 「とにかく、当社の商品を買ってくれるお客さまには、全身全霊で対応する」


 という営業と、


 「1億円の目標を達成させるには、年間500万円以上支払ってくれるお客さまが、20社あればいい。だから、年間500万円支払ってくれるお客さまのニーズを徹底的に理解して、アプローチをかけていく」


 といった営業とでは、どっちがストレスなく目標を達成できるだろうか。もちろん後者である。


●「センターピン思考」を身につける3つのコツ


 「センターピン思考」を身につけるために、次の3つのコツを意識していこう。


現状分析する


 「センターピン思考」を身につけるには、まず現状分析からはじめよう。数値化できるものは数値化し、成果に結び付く要素(KSF=重要成功要因)を見つけていく。自分だけの視点では足りないこともあるので、すでに成果を出している人の意見も積極的に取り入れよう。


 このとき、思い込みやこだわりを取り払うことが大事だ。


 「企画を通したいのなら、本部長と信頼関係を築いておくのが、いちばん早いよ」


 と誰かに言われても、


 「うーん、でも、そういうことはしたくないんだよ」


 と、こだわりを出してはいけない。素直になれない人には、正しいアドバイスは集まらないし、そもそものKSF(重要成功要因)が正しいかどうかの検証もできないからだ。


ボトルネックを絞る


 何をすればいいかを見つけることも大事だが、何がボトルネックかも同じように大切な要素だ。データや他者視点をうまく活用して、見つけていこう。


 ある営業が、「結局は訪問件数が成果に直結する」というKSF(重要成功要因)を見つけたとしよう。


 「提案の中身も大事だが、いかにお客さまに顔を出すかのほうが大事。明らかにデータが証明している」


 ところが、なかなか訪問件数を増やすことができない。データで調べてみると、毎朝10時から30分のミーティングが入っている。活動的な朝の時間を、この30分のミーティングが阻害していることが分かった。つまり、これがボトルネックである。


 そこで、そのミーティングは欠席して、朝礼後の9時15分からオフィスを出ることにした。そうすることで朝から勢いに乗ることができ、お客さまへの訪問件数が1.5倍ほど伸びるとしたら、「毎朝9時15分にオフィスを出る」ことこそがセンターピン、ということになる。


小さな成功と検証をくり返す


 センターピン思考で大事なのは、一度施策を打ったら終わりではないことだ。結果がどう出るかをまめに見ながら、必要なら軌道修正をしよう。うまくいった場合も、それが一時的なアタリなのか、再現性があるのかを絶えず確認する。


 小さな成功を積み重ねていくうちに、部下は「センターピン思考」を肌で感じるようになるはずだ。


●まとめ


 当てずっぽうな仕事ぶりは、一見アクティブに見える。無我夢中で頑張っている姿勢は、ほほえましく思えることもある。しかし成果を上げるうえでは遠回りになることが多い。


 とはいえ、ただ叱るだけでは本人の持ち前の行動力を失わせてしまうはずだ。大事なのは一緒になって「狙いどころ」を定めてあげることだ。そうすることで、一気に成長する可能性も高い。上司は部下に「センターピン思考」を身につけさせることで、自分自身の負荷も軽くなることを覚えよう。


著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)


企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。



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