大船渡の山林火災1週間 長引く避難生活、子どもたちのケア課題

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2025年03月04日 18:17  毎日新聞

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毎日新聞

山林火災で避難中の児童を対象に、避難所で開かれた臨時の学習会=岩手県大船渡市三陸町で2025年3月4日午前9時21分、遠藤大志撮影

 岩手県大船渡市の山林火災は避難生活が長引くにつれ、子どもたちのケアも課題となっている。避難所で臨時の学習会を開くなど、市教育委員会による新たな取り組みも始まった。


 「はい。元気です」。市立越喜来(おきらい)小の避難所に4日朝、子どもたちのはつらつとした声が響いた。休校中の綾里(りょうり)小(児童69人)の児童対象の学習会が開かれ、この日は15人が出席。タブレット端末を持ち寄るなどして勉強に励んだ。


 「お母さんの作る卵焼きとお父さんの春雨スープが好きです。(避難が)落ち着いたら、また手料理を食べたいです」。綾里地区から家族4人で避難している綾里小6年、泉佳澄さん(12)は、朝礼のスピーチで家族への思いを口にした。


 火災発生時は綾里小にいて、煙や炎が迫る中、着の身着のままで避難した。避難所は同級生も少なく、今は学習会が楽しみに。ただ「できたら、卒業式は綾里小で迎えたい」とも話す。


 家族は全員無事だが、自宅は全焼した。母恵さん(45)は「勉強道具も、娘の趣味のピアノも、用意していた中学の制服も全て焼けてしまった。気丈な振る舞いを見せているけど、心配。子どもたちの将来も生活の再建も、今は何も見通せない」と不安を吐露する。


 綾里小の渡辺信子校長は「学校に戻れたとしても、焼け跡の中で安心して勉強できるのか、正直分からない。児童だけでなく、ケアをする保護者の負担も大きくなる。支え合える環境構築が必要だ」と指摘する。


 市教委によると、4日現在、火災の影響で市内の小中学校15校のうち3校が休校している。5日からは臨時の学習会の開催場所を、小中学校5校に拡大するという。【遠藤大志】



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