ＥＵ、鉄鋼業の支援計画策定へ＝米関税にらみ、課題協議

　【ロンドン時事】欧州連合（ＥＵ）のフォンデアライエン欧州委員長は４日、ＥＵ域内の鉄鋼業界が抱える課題について関係者と協議する「戦略対話」を立ち上げた。業界の国際競争力が低下する中、トランプ米政権による追加関税が追い打ちとなる可能性があるため、包括的な支援が必要と判断した。

　欧州の鉄鋼業界は約２５０万人の雇用を支えているが、エネルギー価格の高騰で生産コストが増える一方、世界的な過剰生産によって製品価格が低下するなど、経営環境は厳しい。製造時の二酸化炭素（ＣＯ２）排出量を従来の鉄鋼より大幅に削減した「クリーンスチール」への投資も進まず、競争力の低下に拍車が掛かっている。

　フォンデアライエン氏は戦略対話を踏まえ、「業界が脱炭素化を進め、世界で発展できるよう支援するための計画を策定する」と表明。セジュルネ上級副委員長（産業戦略担当）に対し、今月１９日に業界の支援に関する行動計画を示すよう指示した。