「もっと感謝すべき」決裂した会談から3日経っても収まらない様子のトランプ大統領の“怒り”。トランプ政権は、ウクライナに向けた軍事支援の一時停止を明らかにしました。武器支援の柱であるアメリカからの兵器が停止され、今後の戦局への影響は…？いつまで同じように戦うことができるのでしょうか。
トランプ政権 会談決裂から3日トランプ大統領の怒りは、今も収まらないようです。怒りの矛先は、ウクライナのゼレンスキー大統領です。
アメリカ トランプ大統領
「彼はもっと感謝すべきだ。アメリカはどんな時も関与してきたのだから」
さらに、ホワイトハウス関係者はJNNに対し、ウクライナへの軍事支援を停止したと明らかにしたのです。
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アメリカのメディア「ブルームバーグ」は、 ｢国防総省高官の話として｣、「軍事支援の停止は、『ウクライナ首脳らが平和に対する誠実な決意を示した』と、トランプ大統領が判断するまで継続される」としています。また、アメリカからウクライナへ送られる予定の武器だけでなく、経由地のポーランドにある武器の輸送も一時停止すると報じています。
発端となったのは、2月28日の会談でした。
トランプ大統領
「今とても不利な立場にいるんだぞ？“手札”を何も持ってないじゃないか」
ゼレンスキー大統領
「カードゲームの話ではないんですよ」
トランプ大統領
「いいや、カードゲームだと思ってるね」
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ゼレンスキー大統領
「真剣なんです。戦時下の大統領ですから」
トランプ大統領
「お前は何百万もの命を賭け、第三次世界大戦まで賭けようとしてる。お前の態度はアメリカに対して無礼だぞ」
ウクライナへの支援の見返りとして、レアアースなどの鉱物資源の権益を求めていたアメリカ。28日は、その合意文書に両国が署名するとみられていましたが、会談は決裂しました。これが今回の措置につながりました。
首脳会談に同席したアメリカのバンス副大統領は、ゼレンスキー氏を批判しました。
バンス副大統領（FOXニュースより）
「ゼレンスキー氏は、平和プロセスに取り組む気が無いことが明らかでした。ゼレンスキー氏は今もまだ、その気ではないと思います」
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バンス氏は、解決への現実的な道は、「トランプ氏が提示する道しかない」と述べました。
バンス副大統領
「安全の保証…プーチン氏に再びウクライナ侵略をされたくないのであれば、ウクライナの将来において最善の安全保障は、アメリカに還元することだ。問題解決のための現実的な道は“トランプ大統領の道”しかない。ゼレンスキー大統領・プーチン大統領には“その道”を進んでもらいたい」
軍事支援の一時停止を受け、ウクライナのシュミハリ首相は「全ての外交手段でアメリカに働きかける」と表明しました。
ウクライナへの攻勢を強めるロシア。彼らにとって、アメリカとウクライナの決裂は好都合です。
今回の措置についてアメリカは、あくまで一時的なものとしていますが、ウクライナにとってアメリカからの兵器は武器支援の柱です。今後の戦局への影響について国際安全保障に詳しい専門家は…
防衛研究所 兵頭慎治 研究幹事
「アメリカの武器支援は、量も兵器の中身もアメリカでしかできないものがあるから、そのアメリカの穴をヨーロッパだけで埋めあわせることは短期的には難しい」
では、アメリカからの軍事支援が止まった場合、どれくらいの期間、いまと同じように戦うことができるのでしょうか。
防衛研究所 兵頭慎治 研究幹事
「夏ごろにはウクライナの継戦能力が低下していく可能性がある。ウクライナ側は戦闘ができなくなっていく。どこかのタイミングでゼレンスキー大統領もトランプ大統領との関係を修復したうえで、アメリカの軍事支援の再開を求めるのではないかと思う」
小川彩佳キャスター：
ウクライナとしては、非常に厳しい状況に追い込まれたことになります。こうした脅しのような軍事支援の一時停止もトランプ氏なりの取引なのでしょうか？
小説家 真山仁さん：
交渉する場合、それぞれがカードを持って、どう交渉して、どこで妥協して、どこを打って出るかっていうのはしょうがないと思います。
トランプ氏は何をやるかわからないところもありますが、今回はかなり有言実行であることと、ブレていません。“アメリカ人にとって何が得か”ということをずっと言い続けています。関税についても、「アメリカに工場を作ればいいじゃないか」と。今回もこれだけたくさんの支援をしていて、「我々が見返りがない」「アメリカ人にとって損だ」と言われると、多くのアメリカ人にとっては「何の得があるのか？」と思っていたところはあると思います。しかも3年も続いてる。
さらに国際的には、俺(トランプ大統領)は結果として平和を実現しようとしているのに、なぜそういうテーブルでああいうことを言うのかというのが非常に戦略的に上手になっていると思います。
そうなってくると、3年間この戦争が続いてきた結果、「支援は戦争を続けることなのか？」という疑問に繋がっていくけれど、交渉している。彼(トランプ大統領)が恫喝するようにしてゼレンスキー大統領に対して発言する。おそらく、ゼレンスキーさんがああいうことを言われたのは初めてだと思います。
藤森祥平キャスター：
アメリカがこういった力ずくのやり方を貫いてしまうと、世界に広がりませんか？
真山仁さん：
例えば、国連の決議ですらロシアとアメリカが同じ方法で否決しましたよね。平和というのは様々な意見を聞いて調和を保ってバランスをとることです。彼が本当に平和を望んでいるなら、大国の論理だけで、強い国が力でねじ伏せて「文句言うな」というのは、全然平和ではない。だから、戦地に近いヨーロッパが、ちゃんとした交渉をしましょうと。
確かに戦局は完全にロシアに有利だけど、ヨーロッパは戦争を支援することではなく、それで終わるのなら人間としてモラルや、いわゆる人間の博愛はどこに行くのか、そういう平和の作り方をヨーロッパが描かないと、どんどんやりたい放題のトランプ大統領とプーチン大統領にやられます。
日本も台湾有事問題があるから、日本としてはアジアに来たらどうしようかと思います。
世界が対岸の火事であることが、全部なくなってしまうぐらい重大なポイントで、トランプ大統領に好き勝手やられて、最後「俺が平和を作った」と言わせることだけは避けたいです。
小川キャスター：
相当な戦略的な向き合いが、見受けられますね。
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〈プロフィール〉
小説家 真山仁さん
「ハゲタカ」「ロッキーロード」など
食と農業をテーマにした「黙示」を執筆
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