
「犬猫に玉ねぎを食べさせると危険!」とは、よく聞くお話しですが、私の知人が飼っていた犬チャンは、吉野家の牛丼が大好きで毎日食べていました。私が診察した猫チャンは、カレーライス二人前を盗み食いしたのですが、その後何事もなくピンピンしていました。
【写真】命に危険なのに、猫が袋を咬みちぎってまで食べてしまうサプリがある…中毒死に警戒を
かと思えば、櫛切りにした玉ねぎのほんのひとかけらを食べて、血尿が出たチワワさんも診察しました。
要するにこれは『個体差』があるということです。人間、犬、猫、という種が同じであればある程度規格?は同じですが、クローンではないので遺伝子の組み合わせがそれぞれに違うところがあり、それまでの生活環境も異なると、玉ねぎをどのくらい食べたら具合が悪くなるかも、ヒトそれぞれ、犬それぞれ、猫それぞれなのです。
一方で、工業製品はだいたい規格が同じです。車であれば、車種によって身長(全高)や体重(車両重量)は決められたサイズになりますし、食べもの(燃料)もガソリンや軽油と決まっています。例えばガソリンで動く車に誤って灯油や水を入れると(違う食べ物を食べさせると)、動かなくなったり、壊れてしまったりします。
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それと比べると、個体差がある生き物ってすごいなと思います。でもだからと言って、犬猫に玉ねぎを食べさせて!と申し上げている訳では無く…「個体差がある」「動物は工業製品ではない」ということは、知っていて欲しいと思います。
「どのくらい玉ねぎを食べるとヤバいのですか?」よく聞かれる質問ですが、ですから報告ではどのくらいというのはありますが、それはあくまでも目安です。ヤバい量は、その子その子によって違います。というのが回答です。それに、玉ねぎ自体も工業製品ではないので、「個体差」があります。犬猫にとっての有害成分の含有量は玉ねぎによってばらつきがありますよね。
先日、「この子、全然食べないんです。」といって診察に来られた8か月例のチワワの飼い主さんがおられました。視診ではとくに異常な痩せや元気がないなどといったことはありませんでした。いろいろおうかがいすると、ドライフードのパッケージの裏に書いてある量の半分しか食べていないということでした。
まず、知っていただきたいのは、ドライフードのパッケージに書いてある給餌量は、あくまで「目安」だということです。必要な栄養とその量は、その子の年齢や性格、毎日の行動パターン、自身の消化吸収能力や代謝の様子、環境、罹っている病気や有害物質の取り込みによって異なります。でも、1日に食べる量はそれそれ皆違います!といったところで全くの目安が無いと皆が困るので、最初の「基準」が記してあるのです。その量を与えて太るようであれば与えすぎ、痩せるようであればもう少し与える、と考えてください。
そして、その給餌量は本当は日により月により季節により、どんどん変化するはずです。それはご自身でも経験があると思います。美味しかったのでついついたくさん食べた日もあれば、あまりお腹がすかない日もあるでしょう。
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犬猫を飼っておられる皆さんは、是非その子達の個性を楽しんでいただきたいと思います。どんな性格ですか?何が好物ですか?
◆小宮 みぎわ 獣医師/滋賀県近江八幡市「キャットクリニック 〜犬も診ます〜」代表。2003年より動物病院勤務。治療が困難な病気、慢性の病気などに対して、漢方治療や分子栄養学を取り入れた治療が有効な症例を経験し、これらの治療を積極的に行うため2019年4月に開院。慢性病のひとつである循環器病に関して、学会認定医を取得。