写真会社に巣食う問題社員によって同僚は疲弊し、職場は大混乱。時には退職者まで出し、業績を悪化させる。そんな「危険社員」を7種類の野生生物にたとえて、生態に迫った!今回は「ホオジロザメ型」危険社員について。
◆仕事はAI任せでサボりまくる
強靭な顎に並ぶ鋭利な歯であらゆるものを嚙み砕くホオジロザメ。狩猟戦略は、獲物の不意をつき「一口」で捕える合理的、かつ効率的なものだ。その姿はAI丸投げで全仕事を済まそうとするテック至上主義の危険社員そのもの。
「企画職の若手男性社員が自信満々で配った新プロジェクトの資料は、ネットを検索すればヒットする薄っぺらい内容。しかも、情報漏えい防止のため使用が禁じられているAIを使っており、実際、社内のソースコードが流出する一歩手前だった……。上司が叱責すると『競合他社に後れを取っていいんですか!』と大騒ぎして業務が混乱。取引先から契約を破棄されてしまった」(IT・28歳・女性)
ホオジロザメは捕食時以外は静かに海を彷徨いエネルギーを温存する。サメ型社員もAI丸投げで省力化するが、その実、サボっているにすぎず、同僚の負担を増やす。
「AIを使いこなす自分に酔いしれているのです。基本的に面倒くさがり屋で、『タイパ』という言葉を歪めて解釈している。だから、成果物の完成度や周囲への悪影響など顧みません」(臨床心理士・杉山崇氏)
◆ホオジロザメ型危険社員の厄介なところ
ホオジロザメは一度獲物に嚙みつくと決して離そうとしない。サメ型危険社員もAIを手放そうとしないから厄介だ。労務士の石川弘子氏は警鐘を鳴らす。
「情報漏えいだけでなく、著作権侵害など重大なトラブルを引き起こす可能性がある。会社としては、AI利用の社内ルールを明文化し、周知徹底するべきです」
AIの進化で、サメ型社員による職場被害が増えそうだ。
◆「ホオジロザメ型」の特徴
ホオジロザメの武器である鋭い歯は10日で1列すべてが生え替わり、日進月歩のAIのよう。テック至上主義社員がAI依存なのも頷ける。
海の捕食者の頂点に君臨するホオジロザメ。AIというツールを使う自分に酔う危険社員もまた、会社では王者のように振る舞う!?
普段はゆっくり泳ぎ、潜水時は尾びれを動かさずエネルギーを温存する。ホオジロザメ型危険社員はAIで省力化して、実質的にサボっている。
対策:AI使用の内規を定めて明文化。周知徹底する
【臨床心理士 杉山 崇氏】
心理学者。神奈川大学教授。同大学心理相談センター所長。著書に『心理学的に正しいモンスター社員の取扱説明書』(双葉社)など
【社会保険労務士 石川弘子氏】
フェリタス社会保険労務士法人代表。ハラスメント防止コンサルタント。著書に『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)など
取材・文/綾部まと 取材/谷口伸仁 山本和幸 齊藤武宏 イラスト/神林ゆう
―[職場を壊す[危険社員]図鑑]―
【綾部まと】
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother