「マグロ」や「クジラ」は釣れる? 深夜の歌舞伎町でウーバーイーツ配達チャレンジ【チャリンコ爆走配達日誌】

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2025年03月06日 13:10  週プレNEWS

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最近話題の超大型報酬案件「マグロ」「クジラ」を目指してみました

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第90回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

【画像】歌舞伎町での配達依頼その1〜その7

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ウーバーイーツ界隈で最近話題なのが「マグロ」「クジラ」といった隠語で呼ばれる規格外の超大型報酬案件。取り上げたメディアの情報を見ると、2件同時配達で3000円ほどの配達を「マグロ」、それを上回る5000円ほどの配達を「クジラ」と呼んでいるそうです。

私もウーバーイーツユニオンという組織の執行委員長という立場なので、こういう高額報酬が出ていた話は入ってきているのですが、私自身の配達では一度も出くわしたことがないのと、ウーバーイーツの報酬算出のシステムは配達距離や時間ではなく需要と供給のバランスで決められ、その算出方法も非公表のため、いつ、どの時間帯に発生しやすいのかなど具体的なことはよくわかりません。

というわけで今回はマグロやクジラを実際に"釣り上げる"べく、深夜の新宿・歌舞伎町で配達してみました。

深夜の歌舞伎町を選んだのは、注文数が多く、冬なら寒すぎて配達する人が減ることが予想されるから。

19時過ぎに歌舞伎町に到着。試しに配達員用のアプリを立ち上げると......。

2件で1000円を超える配達がちらほら舞い込んできます。普段、私が配達している中央区の銀座・日本橋エリアで1000円を超えるような依頼はたまーにやってくるだけなので、さすがは歌舞伎町です。

22時に自転車を借り、アプリを立ち上げると、2件1000円を超えるものが続出。その中から比較的高額な1272円の依頼を受け、配達後、23時ごろに再び歌舞伎町へ。

深い時間になると先ほどより金額の高い依頼が出てきて、2件で1500円を超えるものもくるのですが、入ってくるのは「承諾」ボタンのある通常の依頼ではなく「申込み」ボタンのある依頼。これは以前書いた「ウーバーイーツ配達員のマッチングを決める謎の新システム 配達依頼レーダー」案件で、申込みボタンを押しても自分に依頼が来るかどうかわからない案件。1400円以上のものは全件申し込みをするのですが、自分のところに回ってきません。

この時間になると通常の依頼の中に1件のみの配達で950円を超える高額のものも出てきます。安い時は1件320円。3倍ほどの価格なのでおいしい条件の配達ですが、今回の目標はマグロやクジラを釣り上げること。「承諾」のボタンを押したい気持ちを抑えて次の配達を探します。

22時から時間が深くなるほど金額が上昇。このままいけば2000円を超えるマグロを釣り上げられるかもと思った深夜0時10分に出てきたのが1714円の依頼。

普段、私が配達するエリアでは5kmほどの配達は850円から1200円が相場。こんな金額のいい配達、しかも配達員レーダーではない「承諾」のボタンを押せば自分が配達できる案件は大雨が降っている日にしか出ません。

ただ今夜はマグロやクジラを釣り上げるのが目的。1714円はマグロと呼ぶには微妙な数字。釣り上げるべきか否か。早く決断しないと......気がつくと「承諾」ボタンを押していました。

この配達を終えて1時間ほどで歌舞伎町へ戻り、再びマグロやクジラを狙うも出てくるのは高くて2件1500円台、1件だと900円ほど。3時30分を過ぎると金額が下がり始めました。

そんなわけで高額案件に遭遇できたものの、マグロやクジラレベルの大物を釣り上げることはできませんでした。高額案件の話はバイクや自動車を使った配達員の声ばかりなので、自転車配達員には年末年始など配達員の数が深刻な状態にならない限り、超高額案件は出ないのかもしれません。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

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