保護している猫と共に取材に応じる赤間徹さん=2月1日、福島県浪江町 東京電力福島第1原発事故で置き去りにされ、野生化したペットの保護活動を続ける男性がいる。福島県浪江町の元原発作業員、赤間徹さん(62)。かつて原発で生計を立てていたことへの責任感から、町内の自宅や実家に仮住まいとなるシェルターを作り、里親探しなどに取り組んでいる。
赤間さんは関東地方で就職後、地元に戻って東電の下請け企業に入り、福島第1原発などでの作業に従事。その後、自ら下請け会社を設立した。
2011年3月の事故発生直後、避難した住民たちに置き去りにされた多数の犬を見た。「自分たちの原発のせいで。責任を感じた」。家族が同県郡山市に避難してからも自宅に残って保護活動に当たった。
同年4月には自宅が警戒区域となり、赤間さんも郡山市に避難したが、復旧作業のため原発に通う日々が続いた。作業に向かう傍ら、浪江町に残された動物たちに餌をやったり、自宅に保護して世話に通ったりした。
17年に同町に帰還すると、数年後には会社の経営を弟に譲り、保護活動に専念。保健所などからの引き取り活動も行うようになり、これまでに1000匹以上を里親や元の飼い主に送り出してきた。
一方、事故から14年を迎え、シェルターで生涯を終える犬や猫も増えてきた。「本当は家族に見送られるのが一番だが、独りで死ぬよりは人のそばで」と赤間さんは話す。自宅には、これまでにみとってきた50匹以上の骨つぼが並ぶ。
現在は70匹ほどが暮らし、高齢となった一部はこのままシェルターで余生を過ごすことが決まっている。不測の事態に備えて活動を引き継ぐ先は探すというが、「生きている間は面倒を見たい」と、最後まで責任を果たす考えだ。

赤間徹さんが保護している犬=2月1日、福島県浪江町

保護している犬をなでる赤間徹さん=2月1日、福島県浪江町

保護している猫と共に撮影に応じる赤間徹さん=2月1日、福島県浪江町