変額保険の新規契約が増えています。変額保険とは、保険料の一部を株や債券で運用し、運用成績によって保険金や解約返戻金が変動する保険です。保険会社は「“もしもの備え”と“資産形成”に対応できる」とアピールし、新規契約は2017年から増加しています(2024年11月、生命保険協会)。
2025年1月にはなさく生命保険が販売、4月からはチューリッヒ生命保険や業界最大手の日本生命保険が販売を始めます。今後は変額保険がさらに広がるのではないかと、私は心配しているのです。
というのも、変額保険は過去に大問題を起こしているからです。
1990年ごろのバブル期に、変額保険は相続対策で人気を集めました。ですが、バブルがはじけ運用成績が低迷し、元本割れが相次ぎました。保険会社の説明不足を訴える裁判が多数起きたほどです。
2000年代初めにも変額年金保険のブームがありましたが、リーマン・ショックで運用成績が悪化。損失を抱える人が続出したのです。
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「バブル崩壊やリーマン・ショック級の大暴落がなければ……」と思う人がいるかもしれません。しかし、比較的小さな株価の落ち込みでも、変額保険は影響を受けます。
たとえば、30歳男性がはなさく生命の変額保険に加入し、50歳で解約したとします(65歳満期、死亡保険金1千155万円)。保険料は月2万円、20年間で480万円に対して、解約返戻金は運用成績が3%と好調なら517万円ですが、マイナス3%だと279万円。元本を大きく下回ってしまいます。
■保険会社には手数料が高く“おいしい商品”
そもそも、変額保険の運用は加入者が選んだ投資信託で行います。保険会社は、加入者が払った保険料から「保険関係費」や「運用関係費」、年金型で受け取るための「年金管理費」などの手数料を差し引き、残りを運用に回します。運用関係費を見てもネット証券などより高く設定され、手数料合計はかなり高いといえるでしょう。
投資で運用成績を上げるには、できるだけ手数料を抑え運用に回る資金を多くするのがセオリーですが、変額保険はこれに反します。加入者にとって変額保険は多くの手数料で投資資金が削られ、運用成績が上がりにくいものですが、保険会社にとっては手数料が多く稼げる“おいしい商品”なのです。
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2023年ぶりに日本生命保険が変額保険を販売しますが、私は以前から「変額保険に加入してはいけない」と伝えています。もしもの備えと資産形成を1つの保険にまとめても、加入者にメリットはありません。仕組みが複雑ですから、よくわからない方が多いでしょう。そんなよくわからないものに手を出してはいけません。
もしもの備えが欲しい方は、保険料の安い掛け捨て保険に加入しましょう。投資で資産形成がしたい人は、手数料の安いネット証券で始めるといいでしょう。「投資はわからない」と不安な方は投資なんておやめなさい。シンプルな方法で自分のお金を守りましょう。
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