同性婚訴訟の名古屋高裁判決を受け、「違憲」などと書かれた横断幕やボードを掲げる弁護団ら=7日午前、名古屋市中区 同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定は、婚姻の自由などを保障した憲法に違反するとして、愛知県の同性カップルが国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が7日、名古屋高裁であった。片田信宏裁判長は規定について「合理的な根拠を欠く、性的指向による法的な差別取り扱い」と指摘し、法の下の平等を定めた憲法14条1項などに違反すると判断した。賠償請求は退けた。
全国5地裁に起こされた同種訴訟を巡り、高裁判決は札幌、東京、福岡に続いて4件目で、いずれも違憲判断が示された。
この日の判決で片田裁判長は「婚姻の本質は、真摯(しんし)な意思をもって共同生活を営むことにある」と指摘。2018年以降の世論調査などで、同性婚の法制化について肯定的な意見が否定的な意見を大きく上回っていることなどを挙げ、「家族の形態やその在り方に対する国民の意識が大きく変化している」と言及した。
その上で、法律婚制度を利用できるようにすることで具体的な弊害が生じるとは言い難いにもかかわらず、同性カップルは利用できず、不利益を受けていると判断。法的・社会的利益を受けられないことは、法の下の平等などに違反すると結論付けた。
一方、同種訴訟での判断内容が統一されておらず、最高裁の判断も示されていないなどとして、賠償請求は認めなかった。