「10万円のうまい棒」の“げんだいびじゅつ味” (C)ORICON NewS inc. 現代美術家・松山智一の個展『松山智一展 FIRST LAST』(会期はあす8日から5月11日まで)のオープニングセレモニーが7日に東京・麻布台ヒルズ ギャラリーで開催。プレス向け内覧会も行われた。
【写真】見たことないほど厳重に展示されている…「10万円のうまい棒」 松山は、1976年岐阜県生まれ、ブルックリン在住。絵画を中心に、彫刻やインスタレーションを発表。アジアとヨーロッパ、古代と現代、具象と抽象といった両極の要素を有機的に結びつけて再構築し、異文化間での自身の経験や情報化の中で移ろう現代社会の姿を反映した作品を制作している。本展は、松山の東京で初となる大規模個展となる。四半世紀にわたって現代アートの本場ニューヨークで活動し、世界が注目する次世代のアーティストの1人となった松山の日本初公開となる大規模作品など19点を含む、40点以上の作品が展示される。展覧会タイトルにもなる、新シリーズ『First Last』も発表する。
本展のサテライト企画として、麻布台ヒルズ ギャラリー スペースでは、松山が国内のさまざまなクリエイターと協業したTribute + Collaboration作品を展示・販売する。2002年にニューヨークに単身で渡り、アーティストを志した松山にとって、異業種のクリエイティブとの交流は刺激となり、自身の表現にも大きな影響を与えてきた。
Tribute + Collaboration作品の第2弾として「うまい棒」と松山が共同開発し、食を主題にアート作品を発表。『うまい棒 x Tomokazu Matsuyama』は、誰もが目にしたことがある、国民的な駄菓子「うまい棒」と松山が共に作り上げたコンセプチュアルな作品。15円(かつては10円)という安価な設定で知られる「うまい棒」。無数にある味から自分の個性や嗜好を表す味を選択。多くの人にとって幼少期の原体験だった。その「うまい棒」からこの度《げんだいびじゅつ味》がリリースされることになった。価格は発売当初の価格の1万倍となる「10万円のうまい棒」となる。
「特別な加工はない。あるのはコンセプトのみである。ただし50個しか存在しない」と紹介された。「広く親しまれた商品にアートという概念を用いて新たな価値を創出することができるのか、という問いを社会に投げかけたい」という松山の想いに、販売元のやおきんが快く応え実現した。社会通念上の価値の正体を問いかける行為で、松山が自身の作品を介して社会へ問いを投げる行為と通底するものがあるという。
プレス内覧会では、実物の「10万円のうまい棒」がお披露目。厳重なケースの中に収められ、シルバーのパッケージにはゴージャスさが漂っていた(Tribute + Collaboration作品の購入には本展のチケットが必要)。