
街の喫茶店で倒産が急増しています。帝国データバンクが調査・分析した喫茶店(カフェ)の倒産発生状況によると、2024年度は過去最多ペースで推移しています。
2024年度(2025年2月28日まで)に発生した喫茶店(カフェ)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は2月までに66件。前年度から1.5倍に急増した23年度通年(68件)を上回るペースで推移しており、年度累計でも2018年度(73件)を上回る可能性があります。倒産した喫茶店のうち8割以上が資本金1000万円未満の中小零細店でした。
ただカフェの需要は徐々に回復しており、家計調査などを基に1世帯(二人以上)のコーヒー「購入杯数」を推計すると、24年度(1月まで)は1カ月当たり平均1.8杯となり、コロナ禍前の水準に戻っています。
コーヒー豆の仕入価格が大幅上昇
こうした状況にも関わらず、喫茶店の倒産が相次ぐ背景には、原材料価格に加え、人件費など店舗運営コストの上昇が大きく影響しています。
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2023年度の喫茶店における損益状況をみると4割が赤字となったほか、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は7割にのぼり、過去最大だったコロナ禍の2020年度(82.6%)に次ぐ規模となりました。小麦粉や乳製品のほか、特にコーヒー豆の大幅な仕入価格の上昇が喫茶店の経営を圧迫。国内に多く流通しているアラビカ種の価格は、1ドル150円台で推移した円安を背景に2024年度平均で1キロ900円を超え、前年度から1.4倍、コロナ禍の2020年度に比べると2.5倍に急騰しました。コーヒー豆以外にも電気・ガス代、アルバイトなどの人件費といったコストに加え、都市部ではテナント料なども上昇しており、喫茶店のコスト環境は厳しさを増しています。
一方、コーヒー1杯への価格転嫁は十分に進まず、利益を十分に確保しづらい状況が続いています。もともと、喫茶店事業は客単価が低く、回転率も他業態に比べて高くない事業環境に加え、昨今は1杯100円台後半で提供する安価なコンビニコーヒーや、ハイペースでの出店で攻勢をかける大型チェーン、周辺のカフェとの競合も激化しています。昨今の物価高で消費者の節約志向が高まり、同業他店との競争も激化するなかで大幅な値上げがより難しくなっていることも、物価高に耐え切れなくなった中小零細店の倒産が増加した要因となっています。
高級コーヒーやスペシャルティコーヒーの需要を取り込み成長する喫茶店もあるほか、ブランド力のある店舗やオンライン販売では一定の売り上げを維持したケースもある。コーヒー1杯へのこだわりといった、他店やチェーン店との違いをどこまで訴求できるかが重要となりそうです。
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