業種特化の専門AI開発を手掛けるメタリアル(東京都千代田区)は、広報業務を支援する「広報AI」の開発を発表した。自社のプレスリリース作成をAI化し、精度を高めながら外販開始に向けて開発。広報業界の課題解決に貢献していく。
●掲載可能性をスコア化 有力メディアへの掲載を支援
近年、SNSやメディアが多様になり、企業による情報発信の機会が増えた。一方で、広報業務の負担も拡大し、あまたある情報に埋もれず効果的な発信をするための工夫が求められている。社内では全国紙やビジネス誌など注目度の高いメディアへの掲載を求められるケースも多い。広報担当者にとっては発信の難しさが業務課題となっているようだ。
そこで同社は、この課題を解決すべく広報AIを開発した。注目度の高いメディアに掲載されやすいプレスリリースを自動生成することで、広報担当者の業務負担軽減とメディア露出の最大化を支援する。
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広報AIは、メディアの取材傾向を学習。プレスリリースの掲載可能性をスコア化する独自の判定ロジックを搭載している。話題性や消費者視点など、6つの評価基準を設計。スコアが一定値を超えるものを「掲載可能性が高い」と判断する。この判定精度は約72%を達成しているという。
メタリアル・グループCTO/AI開発者の米倉豪志氏は「特に注目すべきは広報AIが出力するタイトルです。PR専門家との協議を重ねる中で、プレスリリースの関心を高めるにはタイトルが重要であることが明らかになりました。しかし、単一のLLM(大規模言語モデル)では、適切な表現を作ることが困難でした」とコメントしている。
そこで、PR専門家の思考プロセスを再現。知識やカルチャーの理解がなくても分かる「ローコンテキスト」な表現を生成する多段階のステップを実装した。独自開発したLLM2を採用することで、人間に匹敵する表現力を可能にしているという。
文章生成プロセスでは、担当者が広報AIにプレスリリースの要点を入力すると、文章の生成が開始される。従来のAIとは異なり、複数のAIエージェント同士が対話を重ねながら文章を構築していく。
例えば「このニュースは興味深いと思わない?」「このポイントは今までにないサービスだね」といった会話を通じて、共感ポイントを抽出し内容を練り直す。AIエージェント同士の対話により、キャッチーで訴求力のあるタイトルや豊かな文章表現が実現できる。
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同社は、広報業界にとどまらず、専門AI開発における高い技術力を生かし、一般的なAIとは差別化を図った業界特化型AIの開発を進めていく。今後は、さらに幅広い分野への展開を目指すという。
(小松恋、アイティメディア今野大一)
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