飛び降りた結果、腰や脚などに複数のボルトが入っている ※写真はイメージです 自殺で命を落とす者たちがいれば、未遂で生き永らえる者たちもいる。“死ねなかった”人々はどんな後遺症を抱え、その後どのような人生を歩むのか。彼らの声に耳を傾け、“生きること”の意味を考える。
◆父の性的虐待で最初の自殺未遂
劣悪な環境から解放されたくて、二度の自殺未遂を経験したという山川佳純さん(仮名・21歳)。最初は父の性加害が原因で17歳のときにマンションの6階から飛び降りた。
「アルコール依存症の父からDVを受けていたのですが、中学の頃からレイプも加わって。夜になると私の布団に入ってきて体中を舐め回し、抵抗しても強い力で押さえ込まれるので、いつも行為が終わるまで震えていました。限界を感じた私は風邪薬を200錠飲んで自宅近くのマンションから飛び降りたんです。病院で目覚めたときは『死ねなかった』と絶望しかなかった」
◆2度めの自殺未遂後の入院を機に再スタート誓う
体内には大きなボルトが何本も入ったままの生活に。家を出たい一心で貯めたお金が、母に浪費されていたのを知った19歳、再び自殺を図った。
「韓国のアイドルが練炭自殺したというニュースを見て、『確実に死ねる』と思いました。ネットで一式を購入して、実家の自室を閉め切り、朦朧とする中で意識を失いました。だけど『今から自殺する』という私のSNS投稿を見た友達が救出してくれて。結果的に、一酸化炭素中毒の後遺症で言語障害だけが残りました」
今では壮絶な半生をSNSやブログに綴れるほど、心は回復した。二度目の自殺が這い上がるきっかけだったとか。
「精神病院に入院したときに、入退院を繰り返す若者の話を聞いて、『本気で抜け出さないと社会に戻れない』と思ったんです。私が心のよりどころにしていたメンヘラ界隈のSNSアカウントも削除。両親とも決別して、再スタートする決心ができました」
今は親元を離れ、障害者グループホームで生活をしながら関西の大学に通う山川さん。
「将来は、同じような境遇の子を守れる居場所をつくってあげたい。私は自殺に失敗して体は死ねなかったですけど、心は二度殺されてるんですよ。だから新たな人生で、生きている意味を証明したいです」
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取材・文/週刊SPA!編集部
―[[自殺に失敗した人]が生きる人生]―