3月11日、東日本大震災から14年を迎える。
今季途中でB1仙台89ERSに加入した荒谷裕秀(26)は、宮城県出身。「どこにいても、毎年この時期には思い出していましたし、黙とうもしていました。ずっと意識の中にあった」。東日本大震災を、片時も忘れたことがない。
当時は小学6年生。卒業間近の3月11日、たまたま学校を休んでいた。「テレビが倒れてきたり、食器が降ってきたり、本当に家の中がぐちゃぐちゃになってしまって。すごい怖い体験でしたし、小学生ながらこれは普通じゃなさそうだと感じるぐらい大きい地震でした」。震災の影響で学校の体育館は避難所に。床のゆがみがあったこともあり、卒業式は市民会館で行われ、中学校の入学式も遅れた。「そこに至るまでも自分たちの地域でも、電気も水もガスもないっていう期間があった、本当に大変だったなという記憶です」。
中学1年の夏休みには沿岸部でのボランティアに参加した。「津波が来ていた地域は、自分たちが生活している町だったはずなのに、何もなくなってしまっていて。被災した町には実際行ってみないと分からない部分がある。より自分たちの普段の生活のありがたみを知るきっかけになった」。日常が当たり前ではないこと、自分の生活に関わってくれる人たちへの感謝を、忘れずに生きている。
今季、縁があって地元のクラブで戦うことになった。「地元でプレーさせてもらえるのは全員が経験できることではないので、子どもたちに、こうなりたいとか、僕を見てナイナーズでプレーしたいと思ってもらえたら一番うれしいです」。震災を経験したからこそできることもある。「経験している人としていない人では、震災の捉え方は違うと思うので、少しでも当時のことを伝えるような発信ができればと思いますし、この日本ではまたいつ震災が起きるかわからないので、その対策などの役に立てればと思います」。地元のプロバスケットボール選手として、勇気を、震災の記憶を、後生に伝える役目を担っていく。【浜本神威】
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