長坂真護氏 美術家「MAGO」長坂真護氏が、「長胸神経麻痺」と診断され、闘病中であることが10日、分かった。小豆島の「月の塔」を大阪・万博記念公園へ期間限定で移設するプロジェクトを進めていた「月の塔プロジェクト実行委員会」が、同プロジェクト中止を伝え、「プロデューサーである長坂真護の健康上理由」と説明した。
【画像】中止となった「月の塔プロジェクト」 長坂氏は、1984年生まれ。MAGO CREATIONの代表取締役・美術家。路上の絵描きととして世界を放浪後、2017年に世界最大級の電子機器の墓場と呼ばれるガーナのスラム街・アグボクブロシーへ向かう。それ以降、スラムの人権と環境保全を改善するため廃棄物で作品を制作し、経済・文化・環境を循環させる仕組みを提唱し、活動している。
2022年には、東京・上野の森美術館で自身初となる美術館個展を開催。第51回ベストドレッサー賞(学術・文化部門)を受賞。大阪・関西万博では、廃 ペットボトルを再利用した作品「ミドルクラゲ “海月(うみつき)” 」を発表予定。
■長坂真護 コメント全文
この度は、万博記念公園への「月の塔」の移設を楽しみにしていただいていた方々には、大変申し訳ありません。
年末のガーナ渡航中、スラムで活動している最中に40度を超える高熱が出てしまい、同時に右肩に激痛が走り、数週間苦しんでいました。ガーナでは原因が分からず、日本へ帰国後、病院で診察を受けたところ、「長胸神経麻痺」と診断されました。右腕の上方への動作が不自由になり、現在も障害が残っています。肩には、神経麻痺特有の症例である「翼状肩甲骨」が見られ、完治には1年前後かかると言われています。
まだ腕が麻痺して上がらず、いつものような活動ができず、制作も困難で大幅に減少している状況です。そのような中で、小豆島の「月の塔」を万博記念公園へ移設するための費用を、ガーナ帰国後にクラウドファンディングで集めようと考えていました。他の個展も控えており、制作は急ピッチで進める予定でしたが、気力よりも先に体が壊れてしまいました。
神経麻痺を克服するため、今年予定していた仕事の見直しを行い、クラウドファンディングの返礼品としてのアート制作の実行も困難であると判断いたしました。
期待してくださっていた皆様、本当に申し訳ありません。現在は仕事を減らし、神経麻痺克服に向けて全力で取り組んでおります。腕が完全に回復しましたら、また思いきりたくさん絵を描きたいと思っています。
右腕が麻痺したからといって、精神的に落ち込んではいません。スラム撲滅の夢への情熱は、全く冷めるどころか、ますます熱く燃え上がっています。必ず完治させますので、どうか今しばらくお待ちいただければ幸いです。
2025年3月吉日