岩手県大船渡市の山林火災で、現場方面に向かう消防車両=10日午前、同市 岩手県大船渡市は9日、先月26日に発生した山林火災について、延焼の恐れがなくなったとして鎮圧を宣言した。市はこれまでに最大1896世帯4596人に避難指示を出したが、段階的に解除を進め、10日午前10時に全て解除した。
避難指示の解除を受け、自宅の様子を見に来たという同市三陸町綾里の自営業佐々木文助さん(75)は、焼けた自宅を見て「残念だ。何も残っていないよ」と肩を落としたが、それでも「生まれ育ったところだからやっていくしかない」と振り絞るように語った。
市によると、火災による建物被害は210棟に上った。住宅被害は102棟で、うち76棟が全壊という。これまで建物被害は78棟としていたが、現地調査が進み、大幅に増えた。
火災は2月26日午後1時ごろ、同市赤崎町で発生。焼失面積は市全体の約9%に当たる約2900ヘクタールまで拡大した。火災では同市三陸町綾里の柴田吉郎さん(90)が亡くなった。
渕上清市長は9日の記者会見で、鎮圧と判断した理由について「延焼拡大の危険がない」と説明。今後、再燃の恐れがない「鎮火」に当たるかどうか判断するため、消防隊らが引き続き消火活動と警戒巡視を行う。

岩手県大船渡市の山林火災で、焼けた自宅を見詰める佐々木文助さん=10日午前、同市三陸町綾里

岩手県大船渡市の山林火災で焼けた建物=10日午前、同市三陸町綾里

岩手県大船渡市の山林火災で焼けた建物=10日午前、同市三陸町綾里