長生きの秘訣はひき肉!? 女性の健康寿命1位の静岡県民が「毎週食べているソウルフード」

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2025年03月10日 11:10  web女性自身

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「元気で長生きするためには、食事がもっとも大事な要因です。国民の消費生活の実態がわかる家計調査には、健康寿命を伸ばすヒントが隠されています」



そう語るのは、日本介護予防・健康づくり学会理事長で筑波大学名誉教授の田中喜代次先生。



健康的に生活できる期間を示す「健康寿命」。2022年時点の最新の推計結果によると、都道府県別でもっとも長かったのは静岡県の女性(以下「女性」は省略)。しかも平均寿命から健康寿命を引いた「日常生活に制限がある期間の平均」でも「10.31歳」ともっとも短く、静岡県には元気で過ごしている高齢者女性が多いことが明らかになった。


そこで総務省が2月7日に発表した2024年の「家計調査」(二人以上世帯)を調べてみると――。



都道府県庁所在地と政令指定都市のなかで、静岡市は昨年1年間で、外食や冷凍食品を除く「ハンバーグ」の1世帯あたりの支出額が3千10円で全国1位に。2位には浜松市(2千689円)が入り、静岡県勢が上位を独占。



「県民のソウルフードとして親しまれている静岡にしかないハンバーグチェーン店も人気。外食や冷凍食品を含めると週に1回はハンバーグを食べているかもしれません」(静岡県在住の主婦A子さん)。



「太平洋に面し、温暖な気候の静岡県は長寿県として知られていますが、ハンバーグに加え、餃子の購入額で浜松市が日本一になったことから、ひき肉を使った料理にも長寿のヒントがあると推察できます。ひき肉は食が細ったり歯が悪かったりして肉が食べられない高齢者でも、動物性タンパク質を効果的に取ることができます。動物性タンパク質をしっかり取ることで、低栄養による免疫力の低下から風邪をこじらせて、肺炎で亡くなるケースを防ぎます。また血管を強くし、筋肉の衰えを予防する動物性タンパク質をしっかり取れば、寝たきりや熱中症死の予防にもなります」(田中先生、以下同)



静岡で晩年を過ごした徳川家康は“健康オタク”として知られ、肉を食べる習慣がなかった戦国時代に誰よりも肉を食べ、平均寿命が50歳ともいわれる時代に75歳まで長生きした。そんな家康公の教えを静岡県民は守っているのだろう。



「ひき肉だけではなく、静岡では『まぐろ』の支出額が全国平均の2.5倍、『しらす干し』『干しあじ』は2倍と多いことから、魚由来の動物性タンパク質を取っていることがわかります。また『家計調査3年(2022〜2024年)平均』では、植物性タンパク質が多い『豆腐』の支出額で静岡市が全国3位に。静岡県民は長寿のカギを握る動物性・植物性のタンパク質をバランスよく取り入れていることがうかがえます」



さらに静岡市の支出額で日本一となった「緑茶」は、がん細胞の増殖を抑制する働きがある茶カテキン、血管の健康を保つカフェインなどを含有。国立がん研究センターの研究では、1日5杯以上緑茶を飲む女性は、1杯未満の人と比べて、胃がんのリスクが3割減、脳梗塞のリスクも2割程度減ることが示されている。





■「喫茶代」が多い岐阜県では会話が脳を刺激して認知機能を維持



健康寿命で2位になったのは山口県。高級魚ふぐで知られている山口市で、全国1位となったのは「あじ」。年間支出額は2千315円で、山口県民は全国平均の2倍以上もあじを食べている。



「県民に愛されているのは地元ブランド“瀬つきあじ”で、毎年6月3日は“あじの日”になっています。郷土愛が強い山口県民は全国各地から集まってくるふぐよりも、安くて栄養価が高く近海で取れるあじを好んで食べているのでは」(県庁職員)



そんなあじも健康寿命の伸びに大きく関係しているという。



田中先生が解説する。



「あじだけでなく、『家計調査3年平均』を見ると『さば』(5位)、『いわし』(8位)と山口県民は青魚をとても多く取っていることがわかります。青魚には、オメガ3脂肪酸の一種であるDHAとEPAが豊富に含まれています。認知機能の改善効果が期待できるDHAと中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させるEPAは、どちらも抗炎症作用があり、大規模研究では、摂取する習慣のある人は、すい臓がんのリスクが30%低下、肝臓がんのリスクは3分の2になると報告されています」



3位にランクインしたのが岐阜県。岐阜市で支出額が全国一だったのが『えのきたけ』。腸内環境を整える食物繊維や骨を強くするビタミンDが豊富なきのこが健康寿命に関与していそうだが、田中先生は支出額が5位だった「喫茶代」にも注目している。



「岐阜には、全国有数の喫茶文化があり、喫茶代の支出額が『家計調査3年平均』で1位(1万4千750円)です。コーヒーには、抗炎症作用のあるクロロゲン酸が老化を促す活性酸素の働きを抑えるなどの健康効果がありますが、それ以上に、友達同士で語り合うことが大きなポイント。気の置けない同士の会話は脳をフルに刺激して認知機能の維持に大いに役立ちます。また喫茶店まで行くことも運動になり、足腰の強化にもつながります」



あの織田信長が根づかせたとされる「もてなし精神」がある岐阜では、充実したモーニング(岐阜県は「卵」の支出額も2位)や、薬局とコラボして喫茶店で健康相談できるサービスも。そんな“おもてなし喫茶文化”がさらに健康寿命を引き延ばしていきそうだ。





■海がないのに魚介類を多く取っている山梨県は健康志向



健康寿命で4位となった山梨県。名産の「ぶどう」が甲府市では支出額で1位になったのは当然として、海がないのに「まぐろ」が3位に。さらには「あさり」は日本でもっとも食していることが明らかになった。



「健康寿命ではいつもトップクラスの山梨県民が、魚介類を積極的に取っているのは健康意識の高さのあらわれでしょう。とくにあさりは、酸素を体の隅々まで運搬し、エネルギーを燃やしやすくするなどの働きがある鉄や、筋肉や骨、皮膚、臓器に含まれ、タンパク質の合成や酵素の生成に関わる亜鉛が豊富。どちらも長寿のためには意識して取りたい栄養素です。



また山梨県には『無尽』という古くから伝わる地域の集まりがあり、高齢になっても交流の機会が多いことも健康寿命の長さに関わっているのでしょう」



さらに山梨県は、65歳以上の就業率が全国2位と高い。働くことで適度な緊張感と責任感が生まれ、健康をキープさせるようだ。



健康寿命で5位となったのは宮崎県。宮崎市の支出額が高かったのは「餃子」(2位)、「緑茶」「あじ」(ともに3位)と、これまで紹介した長寿を支える食材が上位に入っている。さらに「米」の支出額が全国一だ。



「生きていくうえでのエネルギー源となる米は、タンパク質も入っている大切な栄養素。食べすぎると血糖値コントロールが難しくなるので要注意。その点、宮崎ではキャベツの支出額が多い。キャベツに多く含まれる食物繊維は、腸内の有用(善玉)菌のエサになり、腸内環境を整えるだけでなく、食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きも。また、キャベツに含まれる『イソチオシアネート』というフィトケミカルは、体内で発がん物質を解毒する酵素の働きを活性化します。キャベツに多いビタミンKは、骨を丈夫にする効果が期待されています」



温暖で南国情緒にあふれた宮崎県人たちの性格は“おっとり系”が多いといわれるが、健康意識については“しっかり系”が多いようだ。



最後に田中先生が語る。



「これだけを食べていれば元気で長生きするという食材はありません。寿命の続く限り健康であることをかなえるためには、健康にいいとされる食材をバランスよく適量摂取することです」



健康県の食生活を参考に、いつまでも元気で過ごそう!

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