日本大元理事の井ノ口忠男被告(右)と医療法人「錦秀会」元理事長の籔本雅巳被告(日大ホームページより) 日本大学医学部付属板橋病院の医療機器調達などを巡り、不正な契約で日大に約4億2000万円の損害を与えたとして背任罪に問われた日大元理事の井ノ口忠男(67)、医療法人「錦秀会」元理事長の籔本雅巳(64)両被告の初公判が10日、東京地裁(江口和伸裁判長)であった。2人はいずれも「損害は生じていない」と述べ、無罪を主張した。
起訴状によると、両被告は2020年2月〜21年8月、同病院に納入する医療機器や電子カルテシステムのリース契約で籔本被告側の会社を不要に介在させて見積額を水増しするなどし、日大に計約4億2000万円の損害を与えたとされる。
検察側は冒頭陳述で、調達に関する受託業者の選定や契約交渉を統括していた井ノ口被告が、籔本被告側に利益を得させ、その半額を自身に還流させる計画を立てたと主張。一部は実際に井ノ口被告の会社の口座に送金されたとした。
弁護側は、2人には背任の故意がなく、共謀もしていないと主張。籔本被告の弁護人は「調達への貢献の対価として報酬が支払われており、正当な商取引だった。調達価格が不当に高額だったとは言えない」などと訴えた。