WBCまであと1年 侍ジャパンのメジャーリーガーでは賄えないポジションと候補者を考えてみた!

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2025年03月10日 18:11  webスポルティーバ

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 1年後に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。連覇を目指す侍ジャパンが、3月5、6日にオランダ代表を迎えて強化試合を行なった。2連勝を飾り、井端弘和監督は収穫を口にした。

「WBCでメジャーの選手がどれだけ出てくるかはまだはっきりしていないですが、ある程度イメージしながら、ここが課題だなというポジションはしっかり見極められたと思います」

 前回大会では大谷翔平(ドジャース)や吉田正尚(レッドソックス)、ダルビッシュ有(パドレス)らが投打を牽引したように、2026年大会もメジャーリーガーが侍ジャパンの中心を占めるのは間違いない。

【成長著しい山本祐大】

 あらためてその顔ぶれを見ると、早くも来年の本番が楽しみになる。以下が今季、MLBでプレーする日本代表候補だ。

●投手
大谷、山本由伸、佐々木朗希(以上ドジャース)、ダルビッシュ、松井裕樹(以上パドレス)、今永昇太(カブス)、千賀滉大(メッツ)、小笠原慎之介(ナショナルズ)、菊池雄星(エンゼルス)、前田健太(タイガース)、菅野智之(オリオールズ)

●野手
大谷、吉田、鈴木誠也(カブス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)

 投手陣は松井を除いて先発タイプ。野手は二刀流で指名打者の大谷と、外野手3人だ。

 加えて、サードやファーストを守る村上宗隆(ヤクルト)と岡本和真(巨人)は、2025年オフにポスティングシステムで海を渡る可能性が噂される。もし移籍が成立すればWBC出場は微妙になるが、前回大会の吉田のようにWBCに出場してから新球団に合流する可能性もある。連覇を狙う井端監督にとって、是が非でもチームにほしい戦力だ。

 さらに2021年東京五輪や前回のWBC、昨年のプレミア12を踏まえると、「セットアッパー&クローザー」では大勢(巨人)、栗林良吏(広島)、藤平尚真(楽天)が有力。前回大会の決勝でダルビッシュと大谷がリリーフ登板したように、アメリカラウンドの準々決勝以降ではメジャーリーガーの先発投手を後ろに回す手もある。

 以上のように考えると、国内組で、特に台頭が求められるのは「キャッチャー」「二遊間」「左のリリーフ」だろう。

 今回のオランダ戦で招集された捕手は、山本祐大(DeNA)、岸田行倫(巨人)、海野隆司(ソフトバンク)。そのなかで井端監督が以前から高い期待を口にしてきたのが、2024年にベストナインとゴールデングラブ賞をダブル受賞した山本だ。

 5日のオランダ戦で先発マスクを被ると、先発・宮城大弥(オリックス)を3回パーフェクトに導くなど好リードを見せた。

「(宮城は)『いろいろ試したいボールもある』と話していました。1巡目だけでしたけど、バッターの反応も見ながら真っすぐでだいぶ差せていました。そこにいろんな変化球を加えながら、3イニング目は変化球重視でいきました」

 宮城と山本のバッテリーは右打者の内角をうまく攻めながらフォークやスライダー、カーブを有効に使った。山本によれば、イニング間にコミュニケーションをうまく取りながら、狙いどおりの組み立てをできたという。

 打撃では1試合目こそ3打数無安打で内容的にも芳しくなかったが、6回から途中出場した2試合目はレフト前に弾き返した。井端ジャパンでは打力の高い坂倉将吾(広島)がレギュラー候補で、さらに森友哉(オリックス)もいるが、攻守にバランスのとれた山本は前回大会の中村悠平(ヤクルト)のような存在になるかもしれない。

【攻守で存在感を示した吉川尚輝】

 二遊間で今回招聘されたのは、吉川尚輝(巨人)、森敬斗(DeNA)、長岡秀樹(ヤクルト)、太田椋(オリックス)、矢野雅哉(広島)。このなかで攻守にレベルの高いプレーを見せたのが吉川だった。

 5日のオランダ戦では7番セカンドで先発して3打数2安打。初見の投手に対し、見事なバットコントロールでセンター前に2本のヒットを弾き返した。

「(結果は)たまたまだと思うけど、ヒットが出たということはいいアプローチはできたかなと思います」

 30歳の内野手は6年ぶりの日本代表入りとなったなか、井端監督は高い評価を口にした。

「守備でも、ノーアウトランナー1塁でセカンドゴロをセカンドでフォースプレーにしたのはすごくすばらしかったと思います。彼の持っているものを十分に発揮してくれました」

 WBC本番では、右打者で長打力を備える牧秀悟(DeNA)、ミート力とユーティリティ性を併せ持つ小園海斗(広島)が有力。さらに前回、右手の小指を骨折しながら強行出場し、優勝に貢献した源田壮亮(西武)も控えている。球界きっての守備力とつなぎの打撃を兼ね備える源田を超えるショートは、まだ国内に現れていないのが現状だ。

 そうしたなか、二遊間に誰を加えるのか。昨季自身初の全試合出場を飾った吉川は、頭ひとつ抜けた存在だ。WBC出場について聞くと、慎重な答えが返ってきた。

「まずはシーズンが最優先だと思います。そこでケガとかアクシデントがあったら、その先はまずないので。シーズンでしっかり結果を残さないと、そういう候補にも入ってこないと思います」

 入団以来、故障の多いキャリアを歩んできたが、31歳で迎える大舞台で名を連ねることはできるか。吉川にとって、今季は極めて大事な1年となる。

【激化する左のリリーフ枠争い】

 侍ジャパンにとってもうひとつのポイントである「左のリリーフ」では、今回のオランダ戦では橋本侑樹(中日)、河野竜生(日本ハム)、塹江敦哉(広島)がメンバー入りした。

 昨季パ・リーグ最多の33ホールドを記録して最優秀中継ぎ投手に輝いた河野は、6日の試合で1イニングを三者凡退。計10球で仕留めて、井端監督も高評価を与えた。

「小気味いい投球でした。彼の特徴はコントロールと、横滑りするスライダー。今日は右バッターとの対戦だったので、左に対してどうなのかというところですけど、レギュラーシーズンでしっかり見ていきます。1年間、ケガなく終えてくれれば候補に挙がってくるのは間違いないと思います」

 中日の橋本は昨季47試合で防御率1.73を記録し、今回初めて日本代表に選出。5日のオランダ戦では5回に三番手として登板すると、先頭打者に速球を狙われてレフト線に二塁打を許したが、決め球のスライダーをうまく使って無失点で凌いだ。この球種をどこまで磨けるかが、今後の自身を左右すると橋本自身も考えている。

「スライダーの被打率が低くなるようにというのはあります。本当にスライダーを自信持って投げていていくことも必要です。そのなかで真っすぐも大事だと思うので、コンビネーションや組み立てのレパートリーを増やしていければと思います」

 片や、塹江はサイドスローに転向した昨季、53試合で防御率1.58とブレイク。5日のオランダ戦では3回パーフェクトの先発・宮城のあとを受けて4回に登板すると、最速153キロのストレートで押し込んだ。

「真っすぐで押せている感覚はありました。(4回の)最後のバッターはもう一段力を入れて空振りも取れたので良かったです。フォークでも相手のスイングを崩せていました。スライダーは2球投げて、どっちもボール。自分のメインとなる球種のひとつなので、もうちょっと精度が必要かなと思います」

 塹江は強い速球とウイニングショットになる変化球を持ち、変則という武器もある。昨季と同じような活躍を2025年シーズンも見せればWBCに向けて面白い存在になりそうだが、本人はどう考えているのだろうか。

「単純に今の実績や実力で、そういうところに入っていけるかとあまり想像していません。今回こういうユニフォームを着てプレーできる貴重な機会をいただき、成長のひとつのきっかけにできたらいいなと思って来ました。ここからがすごく大事だと思います」

 わずか2試合の強化試合だったが、WBCに向けた候補として招集された選手たちは、その意識を持ってシーズンに臨むはずだ。ここから誰がより成長し、日本代表入りを果たすのか。選考という意味でも大事な2025年シーズンは、まもなく始まる。

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