会議後に、新入社員が一喝「もう少し考えてください!」 いったい、どんな不満を? 経営者が見落としていたこと【専門家解説】

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2025年03月11日 07:00  まいどなニュース

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会議で新入社員が突然言い出した従業員エンゲージメントとは? ※画像はイメージです(imtmphoto/stock.adobe.com)

小さな会社を経営するAさんは、常に社員との対話を大切にしていました。毎月の全体会議では、和やかな雰囲気の中で業績報告や今後の展望について話し合い、社員一人ひとりの意見に耳を傾けていました。

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先日も入社半年の新入社員を含めた全体会議を開催し、Aさんは会社の成長と社員の成長が一体であることを熱く語ったのです。社員たちの目も輝いているように見え、会議は大成功で終わりを迎えます。しかし会議終了直前に、新入社員が突然立ち上がり、「このままでは従業員エンゲージメントが低くなる一方です!もう少し会議の在り方を考えてください!」と言い放ち、会議室から出て行ってしまいました。

新入社員の一言によって、会議室は一瞬にして静まり返ります。Aさんは「従業員エンゲージメント」という言葉を初めて耳にし、その意味を理解できずに困惑の表情を浮かべました。

翌日インターネットで調べてみると、従業員の会社に対する愛着や貢献意欲を表す指標だと分かりました。つまり新入社員は、Aさんが会議で熱弁することによって社員たちの意欲を削いでしまっていると言ったわけです。Aさんは、自分が大切にしてきた社員との対話が、実は形だけのものだったのではないかと思い至り、社内のコミュニケーションの在り方を根本から見直すことにしました。

Aさんは従業員エンゲージメントを意識し始めましたが、これを重要視しない企業はどうなってしまうのでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。

ー従業員エンゲージメントとはどういうものでしょうか

従業員エンゲージメントは1990年代に米国で生まれた概念で、従業員が自社や仕事に対して抱く愛着や思い入れ、信頼度を示す言葉です。2000年以降に外資系企業を中心に国内でも広がっていったようです。

給与や福利厚生といった条件面に注目した従業員満足度とは異なり、仕事に対するやりがいや自己成長も加味して、従業員の帰属意識を高めるために用いられています。

ー従業員エンゲージメントを重視しない企業はどうなるのでしょうか

人材確保の面でマイナスになる可能性が高いです。就職活動や転職活動を支援していると、近年の若者が仕事を選ぶ基準として給与や福利厚生といった条件面の優先度が下がってきていると感じています。

もちろん収入は多ければ多いほうがいいし、働く条件も良いに越したことはないと思っています。ただ、同じ給料で働くのであれば自分の仕事が社会にどれくらい貢献しているか、企業の役に立っているのかといったやりがいを重視する傾向を感じます。

会社や上司が「給料が高いからいいだろう」など、表面的な欲求のみを充足するような認識しかないと、人材確保は難しくなるでしょう。この会社は何のために存在するのか、上司自身がどんな想いを持って仕事に取り組んでいるのか等を伝え、従業員の内的意欲を刺激し、仕事に対するやりがいや自己成長を通じて帰属意識を高めることが求められています

◆七野綾音(しちの・あやね)キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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このニュースに関するつぶやき

  • やり甲斐があるとすれば。年功序列で賃金が上がり、従業員は家族ぐるみで付き合って、結婚相手を探し合う。そんな共同体意識ならばエンゲル係数かもね(*´ω`*)。
    • イイネ!2
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