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2025年03月11日 13:21 ITmedia PC USER
今回は、楽しみにしていた25.3型電子ペーパーディスプレイ「DASUNG Paperlike Color REVO」のレビューをお届けします。以前、Revoではない通常のベースモデル(BASEという名前になりました)をレビューしました。
“REVO”は上記のBASEを基本としつつも、画面表示のリフレッシュレートが33Hzに引き上げられたモデルです。電子ペーパーとしては驚異的ですね。
リフレッシュレートが上がることで使い勝手がどのように変わるのか、33Hzの電子ペーパーに使い道はあるのか。そうした観点を中心に試してみました。
●DASUNG Paperlike Color REVOの特徴
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そもそも電子ペーパーディスプレイの最大の特徴は、目が疲れづらいということです。常時PCを使う仕事の場合、どうしても長時間に渡ってディスプレイの光を見つめることになります。「目が疲れているけれど文字入力をしなければならない」──そんな場面は多々あるでしょう。何とか負担を和らげられないか、といったシーンで、電子ペーパーディスプレイが選択肢として挙がってくるわけです。
もちろん、今までの電子ペーパーディスプレイも十分活躍してくれます。しかし、REVOは33Hzという高いリフレッシュレートを実現したことで、電子ペーパーディスプレイの新たな道を開拓したと感じました。
とはいえ、とても高価(税込29万8000円)なので誰でも簡単に買えるものではありませんが、それでも「手元にあれば……」と、試用してから筆者も悶々と悩んでいます。
基本的なスペックは、以前レビューした通常のPaperlike Color(BASE)とほぼ同等です。画面解像度は3200×1800ピクセル(150ppi)で、カラー表示の発色性能も同じと考えていいでしょう。
→・ついに電子ペーパーPCディスプレイにカラー到来! ただしいろいろ割り切りが必要かもしれない「DASUNG Paperlike Color」を試す
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最大の違いは、やはり33Hzという高速リフレッシュレートを実現した点にあります。非常に低速な電子ペーパーの書き換え速度が当たり前だった時代を知っている筆者からすると、本当に驚きの速度です。
しかし、REVOには重大な制限もあります。BASEは基本的にどのような端末でも接続できましたが、REVOはWindowsおよびLinux専用となりました。MacやiPadのようなApple製品を接続すると、互換性の問題だけでなく、ディスプレイ本体が故障してしまう(!)リスクもあるようです。メーカー保証も無効化されてしまいます。Macで使用したい方は、かなり残念な制限かもしれません。
●特徴である33Hzのスペックは期待通りの動き
実は数年前まで、筆者はメインディスプレイをリフレッシュレート30Hzで使用していました。複数のディスプレイを接続する際のスリープ復帰や表示に関する不安定さを回避することが目的でしたが、事務的な用途なら特に気になりませんでした。今回のREVOは最大33Hzなので、それらと同じレベルでの動作が期待できます。
BASEのレビューでも書きましたが、電子ペーパーディスプレイのネックはマウスカーソルの追従性です。テキスト入力自体は特に気になる遅延感はありませんが、マウスカーソルは細かな操作をすることも多いため、描画速度が遅いと引っ掛かりを感じてしまうのです。
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そのため、電子ペーパーのディスプレイはテキスト入力用として使うか、メーラーのようなアプリを常時開いておくようなサブディスプレイとしての使い方をしていました。
それがREVOではマウスカーソルが普通に追従するレベルになりました。小さいようで、これはまさに革命的(Revolutuinary)なことだと感じました。
●動画も見れる。 しかしわざわざ見るかというと別のお話
リフレッシュレートが33Hzもあれば、低画質ながら動画視聴も可能です。動きの少ないゲームも問題なくプレイできるでしょう。私も試しに1本の映画を見てみましたが、表示速度に問題は感じませんでした。メーカーの宣伝通りの品質といえます。
ただし、カラー電子ペーパーディスプレイの発色自体がそこまで良いわけではないため、配色によっては見えづらいこともあります。
そもそも「電子ペーパーディスプレイで動画を見る必要があるのか?」ということもありますね。この高価なディスプレイを動画目的で使う人はいないでしょう。しかし、何かしらの情報を取得するための“ながら視聴”程度であれば、十分に活躍してくれます。
●その他の品質は、基本はBASEモデルと同じ
リフレッシュレートとWindowsおよびLinux専用機であることを除くと、基本仕様はBASEモデルと同じと考えていいでしょう。詳細はBASEのレビューを参考ください。カラーの発色やフロントライト、ディスプレイフロント部に物理ボタンを搭載しているなど、ほぼ同様です。
→・ついに電子ペーパーPCディスプレイにカラー到来! ただしいろいろ割り切りが必要かもしれない「DASUNG Paperlike Color」を試す
●単独のWindows PCとして使いたい
先ほど、マウスカーソルの追従性が上がったと言いましたが、これによってREVOだけでWindows PCを使うということが現実的なものとなりました。
従来の電子ペーパーディスプレイは、あくまでサブディスプレイであるという認識が強く、どうしても液晶ディスプレイがないと通常の操作(起動からセットアップ、アプリの起動など)は厳しいものがありました。
しかし、33Hzのリフレッシュレートでマウスカーソルが動くのであれば、PCに接続されたディスプレイがREVOのみであっても、十分に使用が可能だと感じます。
PowerPointでのオートシェイプ描画や、Excelの操作などもストレスなく行えます。もちろん、カラー電子ペーパー特有の色の見えづらさはありますが、事務用途としてある程度割り切ってしまえば、大抵のことは問題なく行えるでしょう。
また、電子ペーパーディスプレイのみを接続するメリットがありました。液晶ディスプレイと同時に接続して見比べてしまうと、どうしても電子ペーパーディスプレイの表現の低さが気になってしまいます。
しかし、電子ペーパーディスプレイ「しかない」環境になると、比較対象がなくなるので、そうした粗さも気にならなくなります。より集中してテキスト入力などができるようになりました。
個人的に実現したいのは、このREVOにミニPCをマウントし、iMacのような“一体型Windows電子ペーパーPC”を作ることです。十分実用レベルの操作感が実現できるため、ディスプレイの光を全く浴びずに仕事ができるようになります。
私は業務上、とにかくテキスト入力をすることが多いため、目に優しい電子ペーパーディスプレイだけのPCは長年の理想です。
そうなると惜しいのが、REVOからUSB Type-C接続で、PCに給電ができないことです。USB Type-CでノートPCの給電と映像出力ができれば、まさにケーブル1本でPCと接続できるのになと思います。
●やはり怖いのが、この先の進化
25.3型の電子ペーパーディスプレイは非常に高価であるため、購入には決断が必要です。しかしこの先、いつどのように進化するのかは気になるところです。
必要十分以上の品質を持つようになった昨今のスマートフォンとは違い、電子ペーパーはまだまだ体感的に大きく変わりそうな要素があります。それは、ppi(Pixels per inch:1インチ当たりのピクセル数)と発色です。
「300ppiになる」「フルカラー表示ができるようになる」といったことが実現されたなら、間違いなく購入するでしょう。しかし、それがいつ実現できるかはよく分かりません。「それまで待つのか?」「すぐに新モデルが出たらどうしよう」という葛藤の中、購入を判断する必要があります。
ただし、現時点でも十分にWindows用ディスプレイとして活用できるレベルには達しています。特にテキスト入力中心の方は、是非とも専用機の構築を試してみていただきたいですね。
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