警視庁本部=東京都千代田区 虫歯治療で患者に全身麻酔をかけた後、容体観察を怠り、患者を死亡させたとして、警視庁捜査1課は11日、業務上過失致死容疑で、「エトー歯科」(東京都新宿区、2023年に閉院)の元院長の男(71)=世田谷区=と歯科医師の女(53)=文京区=を書類送検した。元院長は容疑を認め、「これまでに惨事がなかったので、大丈夫だろうと軽信していた」と話し、歯科医師は否認しているという。
捜査関係者によると、2人は19年11月13日、川崎市の女性患者=当時(57)=の虫歯を治療する際、「静脈内鎮静法」と呼ばれる全身麻酔を実施。副作用があることや推奨量の数倍を投与したことを認識しながら、血圧や脈拍などの容体観察を怠り、女性を死亡させた疑いが持たれている。
女性は投与約1時間後、呼吸をしていない状態で発見され、搬送先の病院で翌日、死亡した。死因は低酸素脳症だった。
麻酔を投与した元院長は当時、女性の覚醒を待たずに外出し、歯科医師は治療後にカルテを作成していたという。