《今すぐできる節税アクション》iDeCo・NISA・ふるさと納税フル活用で税金を少しでも安く

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2025年03月12日 20:00  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

 少子高齢化のあおりで、ここ20年、税や社会保険料の負担は増え続けてきた。さらに食料品の価格高騰などによる追い打ちで、家計はもうボロボロ! 手取りを増やすために「103万円の壁」を引き上げようとする動きもあるけれど、税金を少しでも減らす方法はないの?

“ちりも積もれば山となる”で大きな金額に

長期的にみると、今後も税や社会保険料のアップは避けられません。ぼーっとしていたら、手取りは減るばかりです。ただ、税負担を減らす手立てはありますから、諦めず取り組んで!

 そう励ましてくれるのは、家計管理にも詳しい税理士&ファイナンシャルプランナーの西原憲一さん。節税のキホンは、“所得控除”や“税額控除”というしくみを使い倒すことにあるそう。ちょっと難しく思えるけど、負担増が避けられないこの時代、情報をきちんとキャッチして、今すぐ取り組みたい!

最初は節税額が少なく思えても、所得税だけでなく住民税も減らせるものもありますし、何年も続ければ“ちりも積もれば山となる”で大きな金額になっていきます。iDeCoやNISAなど、節税しながら老後資金づくりができるワザは特におすすめです」(西原さん、以下同)

 確定申告シーズン真っただ中。さっそく、お金のプロおすすめの節税アクション・ベスト5をご紹介!

【iDeCo】掛け金引き上げで注目!

 iDeCo(イデコ)は、公的年金に上乗せして、自分で老後資金を準備する制度だ。最大の魅力は、1年間で払った掛け金すべてが税軽減の対象となること。例えば、毎月2万円、年間で24万円の掛け金を払っている場合、所得税がかかる所得から24万円が引かれる。節税できるめやすは、24万円に、所得税・住民税の税率をかけた金額だ。

この掛け金には上限があり、勤め先に企業年金がない会社員は月額2万3000円でした。これが今後、6万2000円に引き上げられることがほぼ決定しており、より節税効果が期待できます

 運用できる期間の延長は決定しているし、実現すれば、節税金額も大幅アップ!

 また、払った掛け金を運用して得られた利益には、通常は約20%の税金がかかるところを、iDeCoで運用した利益についてはゼロに。

 注意点もある。まず、払った掛け金は原則として60歳まで引き出すことができない。

「掛け金の金額は、手持ち資金やライフプランと相談しながら慎重に決めて」

 運用方法は自分で決める必要があり、受取金額は運用成績次第。元本割れする可能性もあるので、無理のない範囲で掛け金を決めることが重要。

ただ、長期運用すれば、節税効果+複利効果により、損をするリスクは減っていきます。目先の相場の上下に右往左往しない覚悟も重要です

 投資が怖いなら、元本割れしない運用法を選び、節税効果だけをゲットする方法も。

 受取金にかかる税金についても軽減策があるが、一時金で受け取る場合の退職所得控除をめぐっては大幅な改悪があった。特に退職金の多い会社員はお得な受け取り方法について情報収集が必要だ。

【ふるさと納税】物価高の今こそ活用必須

 応援したい自治体に寄附すると、所得税・住民税が安くなるこの制度。安くなるめやすは、寄附額から2000円を引いた額だ。

といっても、すでに寄附をしているので税金を納める先が変わるだけともいえます。しかし、実質2000円の負担で質の高い返礼品が受け取れるので、生活必需品などを選べば節約につながります

 注意点は、税が安くなる金額に上限があること。その額は年収や家族構成などによって異なるので、ふるさと納税サイトなどで事前に確認を。

「手続き面でも気をつけて。会社員ならワンストップ特例を利用すれば特別な手続きは不要ですが、医療費控除などを受けるために確定申告をすると、ワンストップ特例がリセットされます。確定申告時に改めて寄附金控除を受ける手続きをしましょう」

【医療費控除】家族分も見逃さず!

 年間の医療費が10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合、確定申告で医療費控除の手続きをすれば税金が戻る。

「そんなにかかっていない……という人も、計算すると意外とかさんでいるもの。医療費だけでなく、通院のための交通費も入ります。意外と忘れがちなのが歯の治療代。そして家計を同じくしている家族のぶんも合算できます。共働きの場合は、年収が高いほうで申請しましょう

 ただし、人間ドックや予防ワクチンなど、治療を目的としないお金は申請不可。また、生命保険や健康保険からの給付金をもらった場合は、その金額ぶんは差し引かなくてはならない。

 還付金額の計算式は年収により異なり、医療費控除額が大きくなる、もしくは、年収が高いほど多く戻ってくる。

 医療費の明細書やレシートが必要で、申告後は5年間保管しておくこと。

【生命保険料控除】限度額も引き上げ予定。安心対策で節税を

 1年間に支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税が安くなるしくみが生命保険料控除だ。対象となる生命保険は、生命保険、介護医療保険、個人年金の3種類。

 それぞれの掛け金の額に応じて、一定額が所得から引かれ、そのぶん税金が安くなる。年末調整または確定申告で忘れず手続きを。

 特に23歳未満の扶養親族がいる人は、2026年分から新生命保険料に関する限度額が4万円から6万円に引き上げられ節税効果がアップする。

【NISA】長期運用でメリットを享受

 通常、投資して得た利益には約20%の税金がかかるが、NISA口座で投資した場合は、どんなに利益が出ても税金がかからない。

利益に対する節税効果が期待できます。iDeCoとの違いは、投資したお金に応じて税が安くなるしくみが“ない”こと。一方で、好きなときにお金を引き出せる点はNISAのメリットです。この2つを踏まえ、iDeCoとNISAを使い分けてみてください

 注意点は、投資には元本割れのリスクがあることだ。

「特定の株を売買して利益を得るには、経済や会社の儲かり具合などをこまめにチェックするなど、時間と手間をかける必要があります。それができない人は、少額から始められ、分散投資ができる積み立て型の投資信託を長く続けて、利息が利息を生む複利効果を狙いましょう」

「103万円の壁」引き上げで手取りは増える?

 もし103万円の壁が123万円の壁へと引き上げが決まれば、税金については、所得税がかからない年収ラインが拡大し、パートで働く妻の手取りが増える。

 夫側の扶養控除についても、例えば夫の所得が900万円以下で妻がパート勤務の場合、妻のパート収入が150万円まで(改正後は160万円までの予定)は夫側に配偶者控除または配偶者特別控除が適用される。税金面で「働き損」は起こらない。しかしここには盲点が。

“社会保険”については別問題です。従業員51人以上の会社に勤めている場合は106万円、それ以外は130万円を超えるパート収入を得ると、社会保険料の負担が発生します。そのため、一時的に手取りが減る働き損が発生してしまうので注意を

教えてくれたのは……西原憲一さん●西原会計事務所代表。税理士、ファイナンシャルプランナー(CFP)。家計管理にからめたわかりやすい税金アドバイスが好評。著書に『いちからわかる!確定申告 トクする書き方ガイド 令和7年3月17日締切分』(インプレス)など。

取材・文/鷺島鈴香

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