井上祐貴らが体現する瑞々しさと重さの絶妙なバランス NHK『明日、輝く』

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2025年03月16日 23:30  ソーシャルトレンドニュース

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"井上祐貴らが体現する瑞々しさと重さの絶妙なバランス NHK『明日、輝く』"

新たな脚本家の才能を世に出す『創作テレビドラマ大賞』。昨年放送された『ケの日のケケケ』は大きな話題となった。今年も第48回の1063作の応募から選ばれた受賞作『明日、輝く』が映像化される。45分の時間としては短いドラマでありながら、強く感情を揺さぶられ、爽やかな印象も残す、小さな傑作である。

「恨みとかない幸せな人?」
「ないの?心の底から誰かを恨んだこと」
「復讐しないと恨みは消えない」

20代と10代の若い男女2人の会話は、冒頭から軽快なようで、それぞれが人生において誰かへの恨みを背負っていることが明かされる。復讐という古典的なテーマかと思いきや、家出をし、仲間と集いオーバードーズをする少女という極めて現代的な背景も組み合わさって描写されていく。
演出の板垣麻衣子が「重たいテーマではあるけど、瑞々しさが残りつつ」と語るように、2人の演技や演出の素晴らしさもあいまって、とても爽やかな印象を残す。とはいえ、家出少女の売春やオーバードーズといった社会問題を矮小化しない制作側の覚悟も感じられる。

主演の井上祐貴は『ウルトラマンタイガ』で注目を集め、昨年の『虎に翼』なども記憶に新しい、若手俳優の注目株。井上は今回の役を「ずっと受けの演技」「色んな感情を抱きながらも表面には出ない難しさがある」と語っていたが、抑えながらも奥底の心の揺れが感じられる、強い印象を残す演技だった。
具志川莉央はオーディションでの抜擢だが、新人とは思えない卓越した演技力を見せながら、どこかにいそうな10代の少女の雰囲気も醸し出す。本人は「辛いことからも逃げずに立ち向かっていく姿を見て、私も頑張らないとなと勇気をもらいました」と作品の印象を語る。


青春物語でありながら、大人にとっても通り過ぎた過去の話ではなく、現在進行形で胸に迫ってくるものがある。総じて、全てが絶妙なバランスの上に成立している作品という印象だ。脚本の竹上雄介は「状況は変わらないけれど、心の持ちようが変わる話」と語っている。45分でそれを上手に描写し、観る側の心の持ちようも変えてくれるような、小さな大傑作が誕生した。『明日、輝く』は3月17日(月) 午後10:45〜放送予定。

 第48回創作テレビドラマ大賞 『明日、輝く』
【放送予定】
NHK総合 2025年3月17日(月) よる10:45〜11:30 (45分×1本)
【作】
竹上雄介
【出演】
井上祐貴 具志川莉央 本多力 希咲うみ 佐藤寛太 横田栄司 ほか
【制作統括】
須崎岳(NHKエンタープライズ/「おかえりモネ」) 本木一博(NHK)
【演出】
板垣麻衣子(NHKエンタープライズ/「燕は戻ってこない」)
【あらすじ】
駅伝レース中のケガで引退し、今はコンビニで働く新野(井上祐貴)。ある日万引きした少女を捕まえるが、その少女・心海(具志川莉央)は「家に泊めてほしい」と言い出し、強引に転がり込む。無邪気でダンスを踊るのが大好きな心海は、ふと「復讐したいほど、誰かを恨んだことはないのか」と問う。否定する新野だが、脳裏にある男の顔が浮かぶ…


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