
時代に合った活動が求められ岐路に立つPTAに関心を持ち、数年前から継続的に取材している。取材経験を生かし、子どもの小学校PTAで会長を2年間務め、活動の意義や課題なども実感した。近年は活動を見直す動きが広まり、求められるのは批判ではなく、変えようとする思いや行動、そして「他校ではこんなやり方で改革した」という情報共有だと感じている。
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「PTAは変わってほしい」。2019年、読者から意見が寄せられた。取材を進めると、共働きが増え、無理やり役員や委員に選ばれたり、強制的に活動に参加させられたりすることへの不満が高まっている実情が分かった。活動のスリム化など、あり方を議論する動きを取り上げた。
その頃からPTAは入退会自由な任意加入団体であるとして、入会時の意思確認が広がった。22年には京都市PTA連絡協議会が日本PTA全国協議会からの退会を検討。実現はしなかったが、近年は全国で上部組織から脱退するPTA団体が相次いでいる。
昨年秋に大津市であった日本PTA近畿ブロック研究大会では、関西各地で行われている活動見直しの事例が報告され、この数年で一気に改革が進んでいると実感した。
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PTAにあるのはこんな構図だ。▽共働きが増えて、役員や委員のなり手がおらず、活動が成り立たない▽役員は任期が1年単位なので、前例踏襲になり、引き継がれた仕事を全うするだけで精いっぱい▽そのうち任期が終わり、課題に気づいても次年度に繰り越す▽そして「意義が薄い」「負担が重い」活動であっても慣例的に続き、不満が再生産される−。町内会や企業、行政機関など、多くの組織に共通するのではないか。
そこで「あり方が古い」と批判することは簡単だ。しかし悪循環から脱却するために大切なことは、課題に気づいた人が自ら行動し、仲間とともに「できる人が、できる時に、できる範囲で」などと時代に合った形に直すことだ。先日取材した、大津市の保護者団体の会長は「一度、ゼロベースで見直す。活動をやめてみても、必要であれば自然と復活する」と語った。そんな姿勢も大事だろう。
とはいえ、長年続いた活動を簡単にはやめにくい。私自身、23年度から会長を務め、活動の見直しも進めたが、迷いもあった。そんな時、参考になったのは他校とのつながりだ。「うちではこうした」という情報が最も役に立った。そんな情報共有の仕組みがさらに広がり、スリム化だけでなく子どもたちのために無理なく楽しく活動する団体が増えてほしい。
PTA活動を通じ、福祉や安全などの地域団体が、高齢化が進むぎりぎりの状況で、街を支えていると知った。問われているのは、自分たちの地域は自分たちで良くするという当事者意識なのだろう。
(まいどなニュース/京都新聞)
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