恒例、サムスン電子の“春の新型ハイエンドGalaxy”は、順当に「Galaxy S25」と「Galaxy S25 Ultra」になった。
何はともあれ、カメラ性能が強化されたGalaxy S25 Ultraである。先代の「Galaxy S24 Ultra」は5倍望遠カメラのセンサーが約5000万画素に強化されたが、今回はそれに加えて超広角カメラも約5000万画素のセンサーになった。一番大きな違いはそこだ。
先にカメラを楽しむ観点で、本機の残念なところを1つ紹介する。「Sペン」の仕様変更だ。
従来モデルのSペンにはBluetooth通信機能があり、自撮りするときのみならず、ブレないように撮りたいときとか、固定して撮りたいときとか、サッとペンを取り出してリモート撮影できたのだけど、S25 UltraのSペンはBluetooth通信機能が非搭載となり、リモコンとして使えなくなったのだ。
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最初、気付かなくて「あれ?」と思ったけど、そういう仕様になったのである。もし今までSペンをリモコンとしても使っていた人は気をつけましょう。
それはさておいて、Galaxy S25 Ultraのカメラがどんな感じになったのか、気を取り直してチェックしていくのである。
●超広角カメラが約5000万画素になったメリットは?
Galaxy S25 Ultraのアウトカメラの基本構成はGalaxy S24 Ultraと同じで、「広角」「超広角」「3倍(3x)望遠」「5倍(5x)望遠」の4種類のカメラ(クアッドカメラ)を備えている。左から見て上から順に超広角、広角、5x望遠。そしてその右にある小さなカメラが3x望遠だ。
先に触れた通り、今回は5x望遠カメラに加えて超広角カメラもセンサーが約5000万画素になったのだけど、3x望遠カメラだけは約1000万画素センサーで据え置きというのがちょっと謎。
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例えば、「iPhone 16 Pro」「iPhone 16 Pro Max」のカメラだと「等倍(1x)」の次がいきなり「5倍(5x)」なので、その中間があるといいなあと思うことは確かにある。なので中間として3x望遠が付いているのは分かるが、スペックで見ちゃうとせめて1200万画素のセンサーが欲しいよねって気はする(実際の写りにそれほど差はないとしても)。
では、ざっくりと撮っていこう。
前モデルと比べて変わったポイント。それは標準カメラアプリのデザインだ。ズーム倍率の「1x」と「3倍(3x)」の間に「2倍(2x)」が追加された。これは大変よい。よく使うからね。
今までは倍率のとこをタップすると、その下に細かい撮影倍率のバリエーションが出たのだけど、今回は一体化された。分かりやすくなってよいですな。にしても「30倍(30x)」と「100倍(100x)」をサッと選べるのはさすがだ。
ではまあ、サクッといつものガスタンクを撮るところから始めよう。
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0.6xから10xまで一気に行きます。
超広角が約5000万画素になって「画質がよくなった」というけれども、率直にいうと、こういうシーンでは差をあまり感じない。メリットがあるのはマクロ撮影時だ。
以前から、ハイエンドのGalaxyシリーズはカメラが被写体に近づくと「フォーカスエンハンサー」が自動的に有効化される(マクロモードに切り替わると同義)。この時カメラが超広角へと自動で切り替わり、元の画角(1xなら23mm相当の撮影範囲)のデジタルズームになるのだ。
メインカメラは、センサーサイズが大きくなるほどに撮影最短距離が長くなるので、近距離撮影時により近くまでピントが合う超広角カメラに切り替わるのである。
実際に使うと、かなり早い段階でフォーカスエンハンサーがオンになる。被写体まで10cmくらいなら、手動でオフにしてもいい。ただしその場合、背景のボケが大きくなる(ピントの合う範囲が狭くなる)。
そこで全体にピントを合わせたい時はフォーカスエンハンサーを「オン」、背景は大きくぼかしたい時は「オフ」――って使い分けるようになったら上級者だ。さらに2xにするとその分大きく撮れるので、フォーカスエンハンサーを使って近寄って撮るか、背景をぼかすべくギリギリまでオンにしないのは、撮影手法としてアリ。
●デジタルズームの品質も改善されている
超広角と反対に、超望遠カメラも挑戦してみよう。
サムスン電子は「S24 Ultraよりデジタルズームの画質が良くなった」というのだが、本当か――ガスタンクを30xで撮って拡大して比べてみよう。
結果は一目瞭然で、ハッキリと分かるレベルで良くなってました。
全部ガスタンクだと面白くないので、東京から見た富士山で30xと100xを撮り比べてみよう。
撮影場所は東京都世田谷区の某所。富士山頂との距離は、直線で90km弱くらいか。
100xって、35mm判換算で約2300mm。さすがにディテールはモヤモヤでのっぺりしているけど、登山道のジグザグがクッキリと見えるのだった。
S25 Ultraの良さは望遠に強いことだと思うわけで、望遠作例をもうちょっとのっけておこう。
5xの望遠で御茶ノ水駅からの列車群を取ってみる。
電車の次は飛行機だ。10xの望遠で狙った。
ちょっとシャッタータイムラグがあるので、倍率を上げると追うのが大変だったりする。けれど、これはこれでいい感じに撮れた。
飛行機の次はガスタンク。といってもいつもとは違う場所から夕日を反射する姿を狙ってみた。望遠の圧縮効果も相まってかなり迫力がある。
もういっちょ。5xの望遠でポートレートモードのネコ。前ボケも作ってくれた。
●強化された撮影機能 Expert RAWでは「仮想絞り」も利用可能
ベーシックな被写体ということで、人物、テーブルフォト、夜景とおさえていきたい。
まず人物から。3xの望遠カメラでまず1枚取ってみた。逆光だったのでちょっと顔が暗いけど、3xは人を撮るときにちょうどいい感じだ。
そしてポートレートモード。美肌を少しかけて少し明るくしてスタジオ照明にする。人を撮る時は、スタジオ照明にするのがおすすめだ。顔に少し光が当たって、影も弱くなる。
ちょっと離れて5xの望遠でポートレートモード。
人を撮るとなると、ポートレートモードは強力。背景をぼかしたくない場合は、ポートレートモードにしてからぼかしをオフにすればいい。肌の処理がイケているのだ。
インカメラでも自撮りしてみる
自撮りもいっときます。「Sペンをリモコンに使えたら便利なのになぁ……」って感じで。
「仮想絞り」を使ってみる
そして、Galaxy S25 Ultraでは、RAWデータでの撮影もできる「Expert RAW」アプリにおいて「仮想絞り」を利用できるようになった。
従来、背景をぼかしたいときはポートレート機能ってのが今までの定番だったけど、今回はそれに加えて仮想絞りも選択肢に加わったという感じだ。
本職のカメラでは、絞り値でピントの合う範囲(つまり前後のボケ具合)をコントロールするが、スマホのカメラは(原則として)絞り値を変えられない。仮想絞りは、それをデジタル処理で行う。
ここで絞り値をセットすると、それに応じたボケを楽しめるのだ。F1.4にすると前後が大きくぼける。下の写真は、右から2番目のピンクのサンタにフォーカスを合わせてみたもの。前後が大きくぼけたのが分かるとおもう。
仮想的とはいえ、カメラの感覚でボケをコントロールしたいときに楽しい。他にも、Expert RAWアプリでは細かい撮影のコントロールができるので、本格的に撮りたい人にお勧めだ。
人物の次は料理。
料理は2xや3xくらいで撮るのがおすすめ。これは2xで。
小物は近所の定食屋で出会った招き猫のカップル。椅子に座る招き猫というのが面白かったのでつい。
夜景もいい感じ
そして夜景だ。暗いと自動的に月アイコンが表示されて「ナイトモード」になる。この時は撮影に時間がかかるので、ゆっくりと。ただ、メインカメラの性能が高いのでちょっと暗いくらいでは、ナイトモードには切り替わらない。
●動画は最高で8K
動画は最高で8K/30fpsまで撮影できる。この辺は先代と変わらずだ。強力な手ブレ補正を使う場合は、画像サイズやフレームレートは落ちる。
ただ、8Kは動画から静止画を切り出して写真として使う時に大変有用だけど、日常的には4K動画くらいがいいかな。前モデルと同様、長押しするとそこだけスローモーションを作ってくれる機能も搭載しているし。
さらに、新機能として細かい画作りができるフィルターや、今まで撮った気に入った色や階調の写真を元にAIがフィルターを作ってくれる機能、AIを駆使した編集機能を備えているのも、Galaxyらしいところ。
その辺のAI駆使系機能は、別途「Galaxy S25」のカメラレビューの時に一緒に扱いたいので少々お待ちを。
モデル:長谷川実沙
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