
ライダーの定番フットウエアである「ライディングシューズ」。さまざまなタイプが販売されていますが、ツーリングに使うのであれば観光地での歩きやすさも視野に入れて選びたいものです。
そこで今回は、歩きやすい「ライディングシューズ」のおすすめを紹介します。
●このジャンルにおける祖の透湿防水モデル:エルフ「ELS17」
ライダー向けのフットウエアと言えば、皮革製のロングブーツか登山靴をベースとしたものぐらいしかなかった1995年。ハイカットスニーカーにバイク用としての機能を盛り込んだ画期的な製品、エルフ「EL001」が発売されました。
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これがライディングシューズ誕生の瞬間です。企画・製造したのは、ダンロップブランドのフットウエアも手掛ける広島化成で、このジャンルの祖と言えばエルフなのです。
筆者は歴代のエルフシューズのほとんどをテストし、その進化を目の当たりにしてきました。どのモデルにも共通するのは、バイクの操作性と歩きやすさのバランスが非常に優れていることです。
スクーターを除き、ライダーはつま先で左右にあるペダルを操作し、ステップバーを通じてバイクの荷重を移動します。ソールが厚すぎるとそれらの感触が足裏に伝わりにくくなり、薄すぎると今度は歩行時に疲れやすくなります。そのさじ加減が絶妙だからこそ、多くのライダーに支持されているのでしょう。
ここで紹介するのは、2021年に発売されたエルフの透湿防水モデル「ELS17」。くるぶしを保護するハイカットタイプですが、後方は大胆にカットされているので、ペダル操作や歩行時の足首の動きを妨げません。
また、ワイヤークロージャーのBOAシステムを採用しているので、着脱およびフィット感の微調整が簡単。他にも、夜間走行時の被視認性を高めるリフレクターや、抗菌性のあるインソールを採用するなど、バイク用としての機能に何ら不足はありません。
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ライディングシューズが初めてというビギナーから、バイク歴数十年というベテランまで、自信を持っておすすめできる製品です。
●想像以上に歩きやすい:フラッグシップ「タクティカルライディングブーツ」
続いて紹介するのは、2020年に登場したフラッグシップの「タクティカルライディングブーツ」です。発売されてすぐにテストしたことがあるのですが、ハードなルックスとは裏腹にソールのクッション性が高く、あまりの歩きやすさに驚きました。
一般的なタクティカルブーツはシューレース(靴ひも)仕様なので、脱ぎ履きに時間を要しますが、この製品は、ワイヤークロージャーのSPINONシステムを片側に2つ採用しており、特に脱ぐときは一瞬でリリースできます。
また、履いたあとにフィット感を微調整しやすいのも、このシステムならではのメリットでしょう。なお、フラッグシップでは、ダイヤルやワイヤーが破損した場合、無償での修理を受け付けています。
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透湿防水フィルム「ヴォクサーム」が挿入されているので、雨が降ってきてもブーツカバーは必要ありません。ミリタリー系のファッションと合わせると映えること間違いなしです!
●意外や高性能:ワークマン「ライザクトセーフティシューズ」
最後に紹介するのは、ワークマンの「ライザクトセーフティシューズ」です。作業現場で使われることを目的に作られたハイカットのセーフティシューズで、なんと2900円(税込み)というリーズナブルな価格で販売されています。
一般的な安全靴と大きく異なるのは、ライダーが履くことも想定している点です。シフトペダルが干渉するつま先の補強をはじめ、くるぶしには保護パッドを内蔵し、かかとにはリフレクターまで設けています。
落下物からつま先を保護するスチール製の先芯入りですが、その緩衝材としてウレタンパッドが挿入されているため、シフトペダルをかき上げた際に指が痛くなることがありません。
また、バイクによってはペダルの動きが悪く、靴のつま先がつぶれて痛みを感じることがありますが、そういった心配が一切ないのも魅力の1つです。
何より強調したいのは、ソールのかかと部分にクッション材が内蔵されているので、長時間歩いていても疲れにくいことです。実際、筆者は北海道ツーリングの際にこれを履いていき、トレッキングに近いことも経験しましたが、グリップ力も含めてこれといった欠点は感じませんでした。とりあえず足首を保護できるシューズを試してみたいというライダーにおすすめです。