UAEダービー4連覇を目指す日本勢 米国の名門厩舎が送り込む“強敵”とは

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2025年03月26日 21:00  netkeiba

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▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆日本調教馬に立ちはだかるライバルを紹介

 5つのG1を含む8つのサラブレッド重賞が組まれ、その総賞金は2950万ドル(約44億2677万円)にのぼるという超豪華な「ドバイワールドカップナイト」の開催が、来週の土曜日(4月5日)に迫っている。

 このうち後半の4競走は日本でも馬券発売があるが、馬券発売のない4競走も興味深い顔触れが揃っている。ここでは、開催前半に組まれた4競走の見どころをご紹介したい。

 まずは、現地16時05分(日本時間21時05分)発走予定のG2ドバイゴールドC(芝3200m)。ブックメーカーの前売り人気を見ると、一桁台のオッズに6-7頭がひしめく大混戦模様となっている。

 格という点で最上位にランクされるのは、23年・24年とG1ロワイヤルオーク賞(芝3100m)を連覇した実績のある仏国調教馬ダブルメジャー(セ5、父ダイワメジャー)だ。

 マイラーだった父とはまるで異なる形質を持つ同馬は、3歳時から仏国長距離路線の最前線で活躍してきた。

 3月9日にシャンティイ競馬場で行われたベーリング賞(AW2700m)を使われ、勝ち馬から1.1/4馬身差の2着と、休み明けを考えれば悪くない内容で、ここへ向けてのチューンナップを終えている。

 ただし、2度のロワイヤルオーク賞制覇はいずれもどろどろの不良馬場で、つまりはそういう馬場が得意な力馬タイプだ。メイダン競馬場の馬場が合うかどうかには、疑問符を付けざるを得ない。

 格で言えば、3歳時にクラシックのG1セントレジャー(芝14F115y)制覇の実績がある愛国調教馬コンティニュアス(牡5、父ハーツクライ)も負けてはいない。

 父の特性からして、古馬になってのさらなる成長が予測されたのだが、残念ながら昨年の同馬は、大きかった期待に応えたとは言えなかった。

 殊に、10月の凱旋門賞(芝2400m)で、道中大きな不利を受けて大敗して以降は、アスコット競馬場のG1チャンピオンS(芝10F)でも、シャティン競馬場のG1香港ヴァーズ(芝2400m)でも、まったく競馬にならず、メンタル面の変調が危惧された。

 だが、今季初戦となったG2レッドシーターフH(芝3000m)では、勝ち馬ビザンチンドリームから3.1/4馬身差と悪くない競馬をしており、復調の兆しを見せている。

 そのG2レッドシーターフHが2着だった英国調教馬エピックポエット(セ6、父ロペデヴェガ)、昨年のこのレースの2着馬で、G2レッドシーターフHは5着だった英国調教馬アルナイール(セ7、父ドバウィ)、昨年のこのレースの3着馬で、その後アスコット競馬場のG1ゴールドC(芝19F210y)で2着となっているゴドルフィンのトローラーマン(セ7、父ゴールデンホーン)、同じくゴドルフィンの所有馬で、1年以上の休み明けを克服して地元の前哨戦G3ナドアルシバトロフィー(芝2810m)を制したドバイフューチャー(セ9、父ドバウィ)、この路線の重賞を3勝している仏国調教馬セヴェナズナイト(牡5、父キャメロット)と、役者は豊富だ。

 続いて、現地16時40分(日本時間21時40分)発走予定のG2ゴドルフィンマイル(d1600m)。前売り人気を見ると、ここは、米国調教馬レイジングトレント(牡4、父マキシマスミスチーフ)、UAE調教馬ムファサ(牡5、父プラクティカルジョーク)、仏国調教馬ノーランチ(牡4、父ドゥバウィ)の三つ巴状態だ。

 2歳時から重賞戦線に顔を出しながら、惜敗が多く、なかなか重賞制覇に手が届かなかったのが、ダグ・オニールが管理するレイジングトレントだ。だが、昨年8月にデルマー競馬場のG2パットオブライエンS(d7F)を制し、待望の重賞初制覇。続くG1BCスプリント(d6F)は着外に敗れたが、12月26日にサンタアニタパーク競馬場で行われたG1マリブS(d7F)を制し、G1初制覇を果たしている。マイル前後の距離を走るのは、G1アメリカンファラオS(d8.5F)で4着になった2歳10月以来で、距離への対応がカギとなる。

 ムファサはチリ産馬。祖国でデビューし、G3ゼネラルホセミゲルカレラ(d1800m)を含む8勝をあげた後、昨年から米国に在籍。G3ヴォスバーグS(d7F)、G3ミスタープロスペクターS(d7F)と、2重賞を制している。今年に入って、ドバイのブパット・シーマー厩舎に移籍。ドバイでの出走歴はない。

 今年に入ってからオールウェザーのレースを3戦し、カーニュシュルメール競馬場のLRサオノワ賞(AW1600m)を含めて無敗の3連勝を飾っているのがノーランチだ。

 ブックメーカーの前売りでの評価は高くないが、24年のG1フェブラリーS(d1600m)勝ち馬ペプチドナイル(牡7、父キングカメハメハ)が本領を発揮できれば、充分に勝機があるはずだ。

 続いて、現地17時15分(日本時間22時15分)発走予定のG1アルクオーツスプリント(芝1200m)。

 中心視されているのは、昨年のこのレースの2着馬で、今年は1つ上の着順を狙うゴドルフィンのスターオブミステリー(牝4、父コディアック)だ。

 昨年のドバイ開催後は、米国に渡り、米国の芝短距離路線を4戦。G3クイックコールS(芝5.5F)を制した他、G1ジャイプールS(芝5.5F)3着、G1BCターフスプリント(芝5F)4着などの実績を残した。

 英国調教馬で、この冬はドバイで過ごし、G2ブルーポイントスプリント(芝1000m)、G3ナドアルシバターフスプリント(芝1000m)を連勝しての参戦となるウエストエーカー(セ3、父メーマス)、G1ナンソープS(芝5F)2着、G1フライングファイヴ(芝5F)2着などの実績を誇る欧州のトップスプリンターで、昨年12月のタタソールズディセンバーセールにてクールモアに300万ギニーで購買されたビリーヴィング(牝5)、G3ボヒニアスプリントトロフィー(芝1000m)制覇の実績がある香港調教馬ハウディープイズユアラブ(セ5、父ディープフィールド)らが、2番手グループを形成している。

 このレースはGI高松宮記念と日程が重複するため、これまで日本調教馬の参戦が少なく、結果も、入着すら果たしたことがない。

 だが今年は、いずれも複数の重賞を制している3頭が参戦を予定しており、前売りマーケットにおける低評価を覆す好成績を期待したい。

 続いて、現地17時50分(日本時間22時50分)発走予定のG2UAEダービー(d1900m)。

 22年から日本調教馬が3連覇している一戦。今年も日本はここに4頭出しで臨むが、立ちはだかる壁になりそうなのが、米国から参戦のフラッドゾーン(牡3、父フロステッド)だ。

 フロリダ産馬で、V.バルボザ厩舎から2歳12月にデビューした同馬。今年1月にガルフストリームパークのフロリダ産馬限定メイドン(d6.5F)を5.1/2馬身差で制し、デビュー2戦目で初勝利を挙げた後、カタールの首長シェイク・タミムの競馬組織ワスナンレーシングがトレードで獲得。B.コックス厩舎に移籍して迎えた3月1日のG3ゴッサムS(d8F)を3.1/4馬身差で快勝しての参戦となっている。

 英国調教馬で、この冬はドバイで過ごし、G3UAE2000ギニー(d1600m)2着、LRアルバスタキヤ(d1900m)2着の成績を残しているハートオブオナー(牡3、父オナーエーピー)、LRアルバスタキヤでハートオブオナーを2着に退けて優勝した地元UAEのギャラクティックスター(セ3、父インプロバブル)、G3UAEオークス(d1900m)を勝っての参戦となるクイーンアステカ(牝3、父シャープアステカ)らも、争覇圏にいる馬たちだろう。

 日本調教馬では、初ダートだった前走G3サウジダービー(d1600m)で2着に健闘したシンフォーエバー(牡3、コンプレクシティ)が、ブックメーカーの前売りではフラッドゾーンに次ぐ2番人気に推されている。

 このUAEダービーにはG1ケンタッキーダービーの出走権を巡るポイントが設定されている中、そのシンフォーエバーと、前走LRヒヤシンスS(d1600m)5着のドラゴン(牡3、父マインドユアビスケッツ)の2頭は、ケンタッキーダービーを含めた米国三冠競走の登録を済ませている。ドバイからルイヴィルへというルートに乗ることが出来るかどうかも、注目されるところである。

 ここでご紹介した4競走は、グリーンチャンネルの中継内で放送を予定している。ドバイワールドC開催は、ぜひ前半からお楽しみください。

(文=合田直弘)

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