長時間労働で疲弊すると、人間関係はギスギスしてきます。人は疲れていると、他人に対して優しくなれないものです。それがひいては離職率の高さにつながっている面もあるでしょう。
しかし、近年は働き方の見直しが進んでいて、長時間労働は是正されつつあります。
かつては無理な長時間労働のために部下が退職してしまっても、上司がとがめられることはあまりありませんでした。しかし、いまでは部下が辞めてしまった上司は、「マネジメント能力がない」と見られて、評価が下がってしまいます。
また、かつてのワンマン経営では、社長がトップダウンで部下に営業の指示をしておけばいいという考え方がありました。目標が達成できなければ叱責して、ときに罵倒して奮起を促せば、やる気を掘り起こすことができると思われていました。しかし、いまの社長は社員の心情に配慮したマネジメントをしなければならなくなっています。
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接客業でも、社員の精神衛生にかなり配慮するようになってきています。これからは、お客さまからのクレームに対しても、これまでのように平身低頭で謝るのではなく、理不尽な内容に関しては毅然と対処する企業が増えてくるはずです。理不尽なクレームで社員が疲弊して辞められてしまっては、企業にとっては大損害だからです。
社員がいなければそもそも事業ができないのですから、一部の傲慢なお客さまより社員のほうを大切にしようとするのは、当たり前といえば当たり前でしょう。
女性に対する社会の認識も、いまは昔と比べてかなり変わりました。
わが社は男性の多い不動産業界には珍しく、社員の男女比率が5割ずつです。これは現代の社会を反映しています。
先日、タイを訪れたのですが、かの国では、女性が社会の重要なポストを担っています。ビジネス街で働いているのは女性の比率が高いようで、日本でいうホワイトカラーのような職業の半分以上は女性が担っているという印象でした。会社の経営者や役員も、かなりの割合を女性が占めているようです。
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特に最近は、インターネットなどのテクノロジーのおかげで、女性が結婚・出産しても仕事が続けられる環境が整ってきて、女性もキャリアをほとんど中断することなく、高めていけるようになってきました。
それに、もともと女性のほうが勤勉で優秀というのもあります。
南の国では、女性ばかりが働いていて、男性は遊んでばかりという国は多いようです。
人口比率で女性が圧倒的に多い北欧のラトビアなどでも、女性が医師や弁護士など、社会的にも地位が高いとされている職業に多く就いています。ラトビアでは、男性の飲酒率や喫煙率が高いため、平均寿命は女性のほうが10年も長く、女性の多い国になっているようです。やはり健康なほうが仕事もがんばれますから、社会の重要な役割を果たす職業にも、次第に女性が多くなっていくのでしょう。
翻って日本を見ると、旧態依然とした状況が見て取れます。
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近年の話題で言えば、いくつかの大学での医学部入試で女子受験生に対する不正操作問題が起こりました。また医者になってからも、女性というだけで差別を受けることもあるようです。一部の教授は現在でもそう考えているのではないでしょうか。結果として、旧態依然とした考え方が根強く残っているのではないかと思います。
今後は日本でも社会で重要な役割を果たすのは、次第に男性から女性に移り変わっていくのでしょう。それをわが社では先取りしているのです。とはいえ、現状の日本では、女性が結婚や出産を機に退職してしまうこともまだ多いので、わが社としては男性社員もほしいのです。
しかし、採用が難しくなってきているのは確かです。そうしてせっかく人材を確保したわけですから、企業は社員に辞めてほしくはありません。しっかり教育することで、本人に成長してもらい、長く勤めてもらいたいと思っているのです。
いまは人手不足ですから、社員はとても大事にされる時代になっています。そうした時代にあぐらをかいていると、自分の成長は鈍ってしまいます。時代の流れを「これ幸い」と捉え、この流れに乗ってうまく自分を成長させる方法を考えることです。
【ポイント】
伸びない人は働き方改革でラクをしようとする。
伸びる人は時短をチャンスと捉えて自分の成長を促す。
(菅沼勇基)
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