2軒目の住宅を購入しようとするときに落とし穴が…!? 「住み替え」を諦めなくてもいい新サービスが続々登場

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2025年03月27日 16:01  日刊SPA!

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 人生で最も高い買い物といわれる住宅購入。一度の購入でさえ大変なマイホームであるが、国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、2回以上住宅(新築住宅)を取得している人の割合は住宅購入者の18.8%いるという。特に三大都市圏では22.6%に達し、2回以上購入する人の比率は増加傾向にあるという。
 中古住宅への住み替えも入れると、二度目の住宅購入を経験している人は思いのほか多いことが読み取れる。しかも、近年の「不動産価格上昇」と「金利上昇」から、駆け込み需要で住宅購入を急ぐ人も増えていると報じるメディアもあるほどだ。

 実は、二度目の購入をしようと思っても「住み替えのときに住宅ローンが組めない」という問題が発生することを知っている人は少ない。住宅購入意欲が高まっている今、この「住み替え問題」が徐々に表面化してきており、二度目の住宅購入の足かせとなっている面がある。

「住み替え問題」とは何か? 宅地建物取引士試験合格者であり、住宅ローンアドバイザーの資格も持ち、住宅購入事情に詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが解説する。

◆ライフスタイルの変化で生じる「住み替え」需要

「子供が巣立って60代の夫婦2人だけになり、コンパクトな住居に住み替えるようなニーズも高まっており、『住み替え』需要は増加傾向にあるようです。

 高額な買い物となる住宅購入では、金融機関の住宅ローンを活用するのが一般的です。ところが住宅ローンを受けている人は、もう一つの別の住宅ローンを組むことはできません。つまり、住宅ローンで住んでいる1軒目の物件から、別の物件を購入して住み替えをしようとすると、2軒目の物件では住宅ローンを組めないのです。

 そこで、1軒目の住宅ローンを全額返済するなどの対応が必要になります。繰り上げ返済する余裕資金があればいいですが、余裕資金がない場合は1軒目の物件を売却して得た売却代金で住宅ローンを繰り上げ返済するのが一般的です。

 ただし、1軒目の物件を売却すると、そこには自分たちは住めなくなってしまう。そこで仕方なく、一時的にアパートを借りるなどして仮住まい先に引っ越しせざるを得ない。実は住み替えをしようと思うと、このような事態に直面してしまうことはあまり知られていません」

 このようにいざ2軒目の物件を購入しようとすると、想定以上の費用や手間がかかってしまい、住み替えを諦めてしまうケースも少なくないという。これが、近年問題視されつつある「住み替え問題」だ。

 また、1軒目のときには問題なく組むことができた住宅ローンだが、「2軒目も同様にスムーズに組めるとは限らない」と、風呂内さんは指摘する。

「年を重ねたことで健康状態に変化が出ていると、住宅ローンを組みたくても組めない可能性もあります。また、転職回数が多かったり、転職したばかりで勤続年数が短かったりすると審査が通りにくいことも考えられます。そもそも60代で退職していたら、住宅ローンは組みにくいでしょう」(風呂内さん)

◆2軒目の購入をサポートするさまざまなサービスが登場

 このような事態に対応するために金融機関は「住み替えローン」や「リースバック」などのサービスを提供している。

「住み替えローンとは、現在住んでいる住宅のローンの残債と新しい住宅を購入するための資金を合算して借り入れできるローンのこと。例えば、住宅ローンの残債が2500万円で、住宅の査定額が2000万円というケースを考えてみましょう。

 この場合、自宅を売却しても住宅ローン500万円が残ってしまいます。さらに、新居で3000万円の借入が必要となった場合、残債とまとめた3500万円を借入できるのが住み替えローンです。

 ただし、住み替えローンを利用する場合は、新居への引っ越し後1年以内に旧居の住宅ローンを完済しなければ、新居の住宅ローンの金利を引き上げられるなどのデメリットがあるケースもあります」(風呂内さん)

 住み替え需要が高まっている時代にあわせて登場してきたのが、この「住み替えローン」だ。

 リースバックとは自宅を売却し、以降は賃貸として元自宅に一定期間住み続けられるサービスだ。一般的には住環境を変えずに、手元資金を作れることや、相続財産としては手間がかかりがちな不動産を処分できるサービスとして知られる。

 リースバックを利用すると、売却資金で1軒目のローンを完済しやすくなるため、2軒目のローンも組みやすくなる。また、住まいも変わらず引っ越しを伴わないため、住み替えの2軒目の物件をゆっくり探すこともできる。

 ただし、リースバックにもデメリットがある。例えば、一般的な買取価格に比べると金額が低くなる傾向にあることや、1軒目の物件にしばらく住み続けようと思ったら家賃を払わないといけない点だ。ただでさえ高額な出費となるのに、家賃の支払いまで発生すると、家計のやり繰りも大変だろう。

 そこで、「1年間家賃不要」といった新サービスも登場してきている。住宅ローンで購入した一戸建てに約20年住み続け、昨年、一建設(はじめけんせつ)の「ラクいえ売却」というサービスを活用して新たに住宅を購入した高村さん(仮名・50代)に話を聞いた。

◆「6か月分の家賃120万円が浮いて経済的に助かった」

「2000年ころに、都内に4LDKの戸建てを購入し、20年以上住み続けました。当時、土地と建物をあわせて6000万円台でした。もちろん住宅ローンを使って購入し、売却時にローン残高は3000万円くらいありました。

 都内の人気の閑静な住宅街なので4000万〜5000万円ならいつでも買い手は見つかると思っていましたが、6000万円近くで売れるように、粘り強く買い手を探していました。

 ただ、私たちが住み続けている“生活感のある部屋”を内見してもらっても、高く売るのが難しい……。そこで一時的に仮住まいとして、アパートへの引っ越しも考えたのですが、その引っ越しと新居への引っ越しと、短期間で二度の引っ越しの手間と費用がかかるので悩みました……。

 それからいろいろ調べているなかで、一建設の『ラクいえ売却』というサービスを知りました。リースバックでは自分の家に住み続けるのに家賃がかかってしまいますが、『ラクいえ売却』では『1年間家賃不要』というプランがあって、契約後もそのまま住み続けることができるのが魅力的でした。仮住まいをせず、その間に転居先を探せるのは大きなメリットでしたね。

 私の場合は半年で新居を購入できましたが、月20万円の家賃が6か月分、120万円も浮いたので経済的にかなり余裕が生まれました。最終的には納得のいく新居を見つけることができ、スムーズに転居することができました。

◆1000万円近くのキャッシュバックも

 しかも、一建設は想定よりも高く売却できたようで、1000万円ほどのキャッシュバックもあり、合わせると希望価格に近い金額となりました。資金を早く必要とせず、計画的な売却を希望する人にはこのサービスは適していると感じましたね」(高村さん)

 住み替えローンやリースバックなども検討したうえで、最終的に自分の住み替え方に最も適していると感じた「ラクいえ売却」サービスを活用した高村さん。買取金額4600万円にキャッシュバック1100万円を合わせて5700万円で売却でき、納得のいく住み替えができたようだ。

 前出、ファイナンシャルプランナーの風呂内さんも「住み替え需要が高まっている時代のニーズに対応した新しいサービスが登場してきています。それらの特徴や、メリット・デメリットをしっかり知り、自分の健康状態や資金などにあわせて適切に活用することが大切です」と話す。

【プロフィール】風呂内亜矢(ふろうち・あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士試験合格者、住宅ローンアドバイザー。26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯蓄を始める。2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立し、現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。
『やってはいけない「ひとりマンション」の買い方』(青春新書)、『マンガでカンタン!NISA・iDeCoは7日間でわかります。』(Gakken)など、これまで約30冊の書籍やムックを手がける。

<取材・文/日刊SPA!編集部>

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