東芝のフラグシップモデル GR-Y640XFS 東芝ライフスタイルは冷蔵庫「ベジータ」の新製品でフラグシップモデルのXFSシリーズ3機種を4月中旬に発売する。新製品は業界トップクラスの容積効率を実現し、従来機種と同じ幅と奥行で収納量が大きくアップしている。
その他の画像はこちら●買い物の変化に合わせて大容量と薄型の2タイプをラインアップ
新製品は定格内容積が643LのGR-Y640XFS(以下、GR-を省略)と595LのY600XFS、543LのY540XFSの3機種で、いずれも発売は4月中旬。市場想定価格はY640XFSが46万円前後、Y600XFSが44万円前後、Y540XFSが42万円前後だ。
3モデルの最大の特徴は、業界トップクラスの容積効率。容積効率とは製品の外形寸法に対する定格内容積のことで、簡単に言うと本体の大きさに対して収納できる容量がどれくらいあるかを示すものである。
新製品ではなぜ容積効率アップにフォーカスしたのか。その背景には消費者の食材の買い方に変化が見られるからだ。
近年、食材を含む食品の価格は上昇基調にある。総務省の消費者物価指数を見ると、2020年の平均を100とした場合、2025年2月は食品全体が124.1で生鮮食品は138.0と上昇している。コストコやロピア、業務スーパーなどの大量パックが人気なのは、やはり割安感があるからだろう。
同社の調査によると共働き世帯の増加に伴い、食材の買い出しに行く回数は減る反面、1回の買い出しで購入する冷凍食品の個数は増えているという。
買い出しの頻度は低くなっているが、購入する個数が増えているのは、まとめ買いをする層が増加しているということだ。まとめ買いをするのであれば、冷蔵庫は購入した食材や食品をより多く収納する必要がある。しかし、容量アップを実現するために冷蔵庫本体のサイズを大きくすると、買い替えでは設置スペースに収まらないという問題が生じてくる。
冷蔵庫本体の大きさを変えずに容積効率をアップすれば、買い替えでは今の設置スペースに収まり、収納量も以前より増えるというわけだ。
また、同社の調査では、冷蔵庫ユーザーは購入した容量クラスによって容量を重視する層と本体奥行きの薄さを重視する層に分かれている。容量よりも薄さを重視する理由としては、庫内の食品・食材の取り出しやすさやシステムキッチンから出っ張らないサイズ感などがあるようだ。
冷蔵庫の容量が550L未満のユーザーは容量よりも本体の薄さを重視し、550L以上のユーザーは容量を重視する傾向が調査から明らかになったと同社では解説する。
新製品のXFSシリーズは、このユーザーの指向に合わせて従来機種と同じ幅と奥行きにも関わらず容積が大きくアップしたY640XFSとY600XFSの大容量タイプと容積アップしながらも奥行きを一般的なシステムキッチンと合わせたY540XFSの薄型タイプをラインアップしている。
●容積効率アップを実現した3つのポイント
XFSシリーズが容積効率をアップできた理由。それは、本体壁面に採用されている断熱材の割合を変えたことによる薄壁化と庫内ダクトのフラット・スリム化、冷却ユニットの小型化という3点を実現できたからだ。
まずは薄壁化。冷蔵庫は室温よりも低い温度で食材を保存するため、本体の内側には断熱材が敷き詰められている。大容量冷蔵庫の断熱材には、一般的にウレタンフォームからなるウレタン断熱材とガラス繊維などを真空包装した真空断熱材が併用されている。
同社によると真空断熱材はウレタン断熱材と比べて薄く、しかも10倍の断熱性能がある。XFSシリーズの本体背面は真空断熱材だけが使われており、側面も真空断熱材の割合が多くなっている。背面に真空断熱材のみを使っているのは現在のところ、同社のみとのことだ。
真空断熱材の使用割合を増やして断熱材が占めるスペースが減ったことによる薄壁化で、庫内のスペースは広がった。
冷蔵室の食材を冷やす冷気は、庫内のダクトから冷蔵室に流れる。従来機種はダクトの幅が広く、前方に膨らむような形状だった。このダクトの風が吹き出す開口部や形状を見直して解析によって最適化し、従来モデルよりもスリムでフラットなダクトを実現。これにより、食品を置くスペースが拡大した。
さらに冷気をつくって送るための冷却器とファンの冷却ユニットも小型化した。同社は冷蔵室と冷凍室にそれぞれ独立した冷却ユニットを配置したW-ツイン冷却を採用しているが、冷却性能を現行以上にキープしながらもコンパクト化を実現した。
これらの機構部分のスリム化、小型化によって本体のサイズを大きくすることなく、庫内の容積が増えた。つまり、容積効率がアップしたのだ。●調理した料理を約7日間保存できるDeliチルドモード
XFSシリーズは使い勝手にもこだわって開発された。そのいくつかを紹介しよう。冷蔵室の庫内を照らすLEDは従来機種の約3倍に増やし、光を拡散するシェードを採用することでより明るく、庫内の奥に置いた食品も見やすくなった。
また、天井部に埋め込まれている従来機種のLED照明は下側に膨らんだ形状だったが、XFSシリーズではフラットな形状に変更。最上段の棚に置いた食品の出し入れがこれまでよりスムーズになったという。
新たに採用した冷蔵室のフリー棚も見逃せないポイントだ。冷蔵室は3枚の棚で上下の空間を仕切ることができるが、フリー棚は棚の高さを7段階に調節可能。収納する食品や食器、調理器具に合わせて40通りのレイアウトにカスタマイズできる。
扉裏のドアポケットもワンタッチで収納スペースの高さが変えられるフリードアポケットを採用し、ユーザーが収納したいとおりのレイアウト変更が手軽にできる。
冷蔵室内に配置されている上下2段のチルドルームでは下段を左右に分割し、扉を全開にせず片側の扉を開くだけで食材が取り出せるようになった。
さらにチルドルームの温度設定モードでは、新たにDeliチルドモードを搭載した。Deliチルドモードにすると、チルドルームの温度は食材が凍る寸前のマイナス1度で保たれ、作り置きのおかずや余ったごはんなどをそのまま入れておいても約7日間保存できるという。
従来機種でもXFSシリーズでもマイナス1度の氷結晶モードが搭載されている。温度帯は同じだが、Deliチルドモードはマイナス1度をキープするのに対して、氷結晶モードはマイナス1度から前後に温度を上下に変化させて、あえて食材に薄い氷の膜をつくるという点が異なる。
同社では、この温度変化の違いを活かして、肉や魚などを生のまま保存するときは氷結晶モード、調理加工したものにはDeliチルドモードと使い分けを推奨している。
新製品の発表前に行われたメディア向けセミナーでは、冷凍とDeliチルドモードでそれぞれ保存した食材を使った筑前煮の試食が行われた。
筑前煮はコンニャクや人参など、冷凍で保存すると食感が大きく変わってしまう食材が使われている。会場の都合で保存した期間は1日だったが、実際に試食してみると冷凍保存したコンニャクは水分が抜けてシャリシャリした食感だった。
一方のDeliチルドモードで保存したコンニャクは弾力があり、噛み応えのある食感。人参も同様に冷凍保存の方は歯応えがない食感だったが、Deliチルドモードで保存した人参はしっかり歯応えと噛み応えのある食感になっていた。
●冷凍室と野菜室にも使い勝手が向上した機能を搭載
冷凍室は冷凍食品のまとめ買いにも対応した大容量。Y640FXSは買い物カゴ3個分に相当する160Lで、Y600XFSは147L、Y540XFSは132Lと、いずれも1クラス上の容量帯に匹敵する大きさだ。さらに深さの異なる2段のトレイを採用し、最下段は冷凍食品を立てて収納できる3段冷凍室となっている。
また、見た目と使いやすさのバランスを考え、扉の高さ比率も見直した結果、製氷室の扉は小さめに、冷凍室の扉の位置は従来機種より高くなっている。
野菜室は従来機種でも搭載されている、もっと潤う摘みたて野菜室を採用。ミストチャージユニットで野菜から出るエチレンガスを吸収し、鮮度を約10日間キープする。
野菜室の中には、使いかけの野菜をそのまま入れるだけで鮮度が長持ちする使い切り野菜BOXを搭載している。従来機種でも搭載しているが、XFSシリーズではこの使い切り野菜BOXをリニューアル。フタの開閉部分には丸みを持たせ、片手でフタが開くようになった。
近年のインテリアのトレンドは、床や壁材にグレーとベージュの中間の色合いであるグレージュの採用。FXSシリーズでは従来機種と同様にグレージュのインテリアと親和性が高いフロストグレージュとフロストホワイトを採用した。
Y640XFSはこの2色に加えて、ほんのり赤みがかったダークグレーの色合いを持つオブシディアンブラックの3色展開だ。
オブシディアンとは黒曜石のこと。落ち着いた印象を与えながら圧迫感がなく、上質で高級感のある色合いだ。一見するとつや消しのマットブラックに見えるが、近くで見るとテクスチャーのような感じで濃いダークグレーの縞模様が入っていて、柔らかな光の反射も感じられる。
同社によると、素材にはフロストガラスを採用していて、縞模様は表面処理したものではなくガラスの背面に印刷されたもの。確かに表面を触ってみても凹凸がなく、ツルツルしている。パッと見はフラットな印象だが、よく見ると表情があるということにこだわったという。
2009年5月〜2011年3月まで家電エコポイント制度が導入され、冷蔵庫の需要は伸長した。2人以上世帯での冷蔵庫の買い替えサイクルは13〜14年前後で、買い替えを検討している向きも多いのではないだろうか。
買い替えでは、やはり設置スペースが気になるところ。新製品のXFSシリーズは前述のとおり、設置スペースはそのままで容積効率アップにより容量が増え、各機能や使い勝手の面でも向上している。10年ぶりのフルモデルチェンジということで、細部まで抜本的な見直しが図られたシリーズだ。
買い替えや引っ越しなどで冷蔵庫の購入を考えているのであれば、家電量販店の店頭で同社のXFSシリーズに触れてみることをお勧めしたい。
なお、同社では新製品発売記念としてXFSシリーズを購入するとAmazonやau PAYなどの「選べるe-GIFT」プレゼントを実施する。購入者全員にe-GIFT3万円分がプレゼントされ、さらに抽選で100名にe-GIFT2万円分が追加で当たる。購入期間は5月11日までで、応募期間は6月13日までだ。